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コロナ関連融資の審査のポイント

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社へのセーフティネット保証(以下、SN保証)の審査について、「やむを得ない事情とはいえ、業況が悪化した会社に、経営環境も見通すことができない中、融資(保証)の審査はどうやって行うのか」という質問を受けることがあります。確かに、SN保証や、特別貸付の融資(保証)審査は、通常の融資の審査とは異なるので、これらを利用しようとする方が、そのような疑問を持つことも理解できます。では、SN保証については、どういった審査するのかということを、これから説明したいと思います。

但し、これは、それほど普遍性がないとは考えていませんが、私個人の考え方でなので、必ずしも、すべての銀行、信用保証協会の方が、同じように考えているとは限らないということを、あらかじめご了解ください。まず、SN保証を申込んで来た会社に対しては、新型コロナウイルス感染症の影響がなかったとしたら、事業は正常に継続できているかどうかという点を見ます。具体的には、黒字を維持しているか、自己資本比率が少なくとも20%程度以上あるか、融資額が過剰ではないか、ということを確認します。

それらが問題がなければ、融資(保証)の申込額が妥当かどうかを見ます。これは、月商の3か月分とか、固定費の3~6か月分など、定まった目安はありませんが、そのような金額が参考にされます。ただ、できれば、月次資金繰予定表があると、資金必要額が明確に銀行(信用保証協会)に伝わります。そして、月次資金繰予定表を作成する過程で、融資を申し込む側も、必要額が明確に理解できます。そこで、例えば、「これから運転資金がいくら必要になるか分からないから、多めに申し込みをしておきたい」というような、薄い根拠の金額で申請をすることがなくなります。

さらに、返済条件、特に、据置期間についても、6か月間や1年間必要と考えていれば、それも、資金繰予定表で明確に根拠を示すことができます。でも、資金繰予定表を提出できなければ、審査する側も、過去の財務データのみで、月商や固定費などから類推して、承認する融資(保証)金額や返済条件を決めることになります。審査をする側も、本当は、資金繰予定表を見て、金額や返済条件の妥当性を検討したいのですが、やはり、申込をする会社でないと、資金繰予定表を作ることはできないので、提出された資料のみで判断せざるを得ません。

ところで、セーフティネット保証の審査では、結局、もともと正常な会社であったかということと、申込金額や返済条件が妥当かということしか検討せざるを得ないということが、冒頭の質問への回答です。ただ、繰り返しになりますが、資金繰予定表を提出しているかどうかで、審査結果の納得性に違いが出て来ます。ひとことで言えば、資金繰予定表なしで申込をすれば、アバウトな判断しかされず、その結果、申込をした側からは、不満を感じる結果になる可能性もあるということです。

私は、従来から、資金繰予定表は大切であること、そして、その作成方法もお伝えしてきました。しかし、これを作ることができる会社は、あまり多くないということも現実です。資金繰予定表は、高いスキルがなくても作成できるものですが、まず、問題となるのは、売上見込みです。これは、最終的に、経営者の方が判断するしかありません。そして、経営者の方も、最終的には、明確な根拠なしに、売上見込みを決めざるを得ないこともあるでしょう。まず、この売上見込みを決めるということができなければ、資金繰予定表を作成できません。

次は、売上見込みに基づいて、売上原価や固定費の推移を決めて行くのですが、これも、不慣れな人にはやや難しい作業です。ただ、現在の状況は、会社によっては時間を確保できる場合も多いと思います。そのような会社の方は、この機会に、資金繰予定表を作成してみることをお薦めします。資金繰予定表を作ることができるようになると、これからの融資申請は、とても楽になります。なお、当事務所では、新型ウィルス感染症の影響を受けた会社さまからのご相談については、電子メールでのみ、無償でお受けしておりますので、ご希望の方は、こちらからお寄せください。→ http://yuushi-zaimu.net/contact/

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