顧客第一とはカスタマーオリエンテッド
[要旨]
本当の意味での顧客第一とは、単に、顧客を最優先することではなく、顧客を重視する事業活動を行い、その結果として、自社の利益を得ることですので、従業員などに伝えるときには注意が必要です。
[本文]
事業方針として、「顧客第一」をかかげている会社をしばしばみかけます。そのことに問題はないのですが、「顧客第一」を誤解している方も少なくないようです。「顧客第一」を方針と決めた経営者としては、顧客を重視して事業を遂行して欲しいと考えているのでしょう。
でも、従業員の中には、「顧客第一」を、「顧客最優先」と誤って理解し、顧客の言いなりになってしまうこともあります。その結果、そのような従業員は、採算の得られない取引条件(価格の引き下げや、過剰なサービス)で取引をしてしまい、会社に損害を与えてしまいます。しかし、本来の「顧客第一」は、前述のとおり、顧客を重視した事業活動を遂行し、その結果、自社の利益を得ることです。
顧客は重視する対象であっても、最終的には自社の利益につなげることが、事業活動の目的です。このような考え方は、カスタマーオリエンテッドと言います。ですから、経営者の方が「顧客第一」に言及するときは、カスタマーオリエンテッドについても説明し、単に、顧客が満足すればよいのではなく、その結果、自社の利益が得られなければならないということを、従業員にも理解してもらわなければなりません。
また、例としては少ないですが、業況の改善を要する会社の経営者が、抜本的な改善作を打ち出すことができず、苦し紛れに「顧客第一」を方針としてかかげることがあります。このような会社は、単に、顧客に従順になるしか打ち手はないということなのでしょう。そのような会社は、顧客の過剰な要求が続いて従業員が疲弊し、早晩、事業を継続できなくなってしまいます。
私は、「顧客第一」という言葉自体はよい言葉だと思うのですが、誤って理解されることが多いので、十分に注意していただきたいと考えています。ちなみに、黎明期の京セラが、巨大会社のIBMから製品を受注したというエピソードが、真の「顧客第一」のよい事例であると私は考えていますので、よろしければご参照ください。→ https://bit.ly/3b6pG8n
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