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[要旨]

経営者の方は、単に、「パワハラは法律で禁止されている」と、部下に伝えるだけよりも、人材育成を行い、どうすれば業績を向上させることができるようになるのかということを、自律的に考えるようにすることで、自ずとパワハラも起きなくなると考えられます。


[本文]

弁護士の鳥飼重和先生が、ポッドキャスト番組で、パワハラ対策についてお話されておられました。その要旨は、パワハラは法律で禁止されているから、やってはいけないと、従業員に説明することもできる。しかし、従業員に対して、彼らの成長したいという意図を汲み取りながら、人材育成をしていくことで、彼ら自身が、業績を向上させるためにはどうすればよいかということを考えるようになる。そうすれば、自ずと、パワハラも起きなくなる、というものです。

この鳥飼先生のお考えは、ほとんどの方が同意すると思います。ところが、このようなことを実践する会社は、残念ながら、少数派だと、私は感じています。その原因として考えられることは、いくつか考えられますが、そのひとつは、単に、「パワハラは法律で禁じられている」と伝えるだけの方が、経営者の方にとっては、労力が少ないからだと思います。

ふたつめは、経営者の方が、ルールを守ることについて、関心が低いからということが考えられます。例えば、会社の業績があまりよくないときに、経営者の方が、部下に対して、「何がなんでも、今月中に目標が達成するよう、契約をとって来い!」などと、売上を最優先していることを、強調することがあります。

確かに、経営者の方は、ルールを破れとは言ってはいないものの、部下たちは委縮して、部下が、さらにその部下に対して、パワハラを行ったりする可能性が、高くなります。一方で、経営者の立場とすれば、業績を維持できなければ、会社が存続できなくなるので、「きれいごと」ばかりを言ってはいられないという思いもあるでしょう。

この両者の兼ね合いについて言及することは、今回は割愛しますが、もし、「業績を維持するため」という大義名分で、職場環境が悪化してしまえば、部下たちの士気がさがり、早晩、事業は継続できなくなってしまうでしょう。この件に関しては、とても難しい課題ですが、ルールと業績を両立させる、さらにはルールを守ることで業績向上につなげるということを実現できなければ、現在は、事業を継続させることは難しくなってきていると、私は考えています。

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