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経営者は経営しなくてはならぬ

[要旨]

柳井正さんが感銘を受けた著書である、プロフェッショナルマネージャーの著者、ジェニーン氏によれば、経営とは、目標が達成されるまで対応を繰り返すことだそうです。これは、経営者は、常に、プロセスに深く関与し、目標を管理することということですが、実際にこれを行う経営者はあまり多くないと、ジェニーン氏は指摘しています。


[本文]

米国の航空宇宙産業、交通産業、エネルギー産業などのコングロマリットの、ITTの元社長の、ハロルド・ジェニーンの著書、「プロフェッショナルマネジャー」を読みました。ちなみに、この本は、柳井正さんが「ぼくの運命を変える1冊」と評している本としても有名です。この本の特徴は、タイトルからもわかるとおり、マネージャー(経営者)がどうあるべきかを、ビジネスの現場にいた方からの助言が書かれているものです。経営者の書く本の多くは、自伝的なものですが、この本は、セオリーが中心になっているところも優れていると言えます。

中でも、ジェニーン氏は、「経営者は経営しなくてはならぬ」を、何度も繰り返して述べています。ジェニーン氏が、この言葉を書いた理由のひとつは、経営者は、経営者というポジションについていても、経営をしていない場合が多いからと考えることができます。それくらい、「経営」とはどういことかということを意識しなければ、経営者は経営をしないということなのでしょう。ただし、裏を返せば、経営者の役割を理解し、実践していれば、ジェニーン氏のように、「58四半期連続増益」を成し遂げることも可能になるのかもしれません。

では、ジェニーン氏のいう経営とは何かというと、「ひとつの対応がうまくいかなかったら次の対応を、そしてまた次の対応を……目標に達成するまで試み続けることが、『経営する』ということなのだ」と述べています。このジェニーン氏の言葉だけでは理解しにくいと思いますが、私は、ジェニーン氏の言葉は、「目標を達成するまで、管理活動を継続する」ことを指していると考えています。

これを言い換えれば、成行の運任せで業績をあげることは経営ではなく、プロセスに常に関与することを継続することが経営なのでしょう。ただ、これは、単純なことのようで、実際に実践する経営者は少なかったので、ジェニーン氏は、「「経営者は経営しなくてはならぬ」という言葉を何度も繰り返したのでしょう。「マネジメント」とは、理解されているようでなかなか理解されない、または、実践されないものだということを、同書を読んで、改めて感じました。

2021/11/17 No.1799

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