経営者と従業員が一緒に学ぶ効果
[要旨]
事業の改善のために、経営者の方が研修を受けることは珍しくありませんが、幹部の方をはじめ、従業員の方といっしょに学ぶ経営者の方はあまり多くないようです。しかし、事業活動は組織的な活動なので、できるだけ多くの方がいっしょに学ばなければ、研修の効果はあまり期待できません。
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経営コンサルタントの小山昇さんのラジオ番組にご出演しておられた、株式会社森甚の社長の森田径さんのお話を聴きました。森田さんによれば、森田さんは小山さんの会社のコンサルティング会員になり、小山さんの会社のコミュニケーション研修を受けていたのですが、その研修には、森田さんの会社の幹部の従業員の方にも受講してもらったそうです。その結果、いっしょに学んだ方と、改善が必要になる点を共有することができ、大幅な効果が得られたということです。
このような体験談に対しては、複数の人が同じ研修を受けたのだから、当然の結果と考える方も多いと思います。しかし、中小企業の多くは、事業の改善のために、外部研修などを活用しようと社長が考えても、社長だけが研修などを受講したり、教材で学んだりするだけで、従業員の方たちは、新たなことを学んだ社長から、一方通行で指示を受けるだけになるということが多いと思います。
すなわち、学ぶのは社長だけなので、従業員の方たちはその背景などもわからずに、一方的に新たなことをやらされるので、社長の期待するような結果に、なかなか至らないのではないでしょうか?このような状況であれば、いくら社長が学んでも、改善活動は限定的な効果しか得られなくなるでしょう。さらに、もっと大切なことは、社長だけが学ぶのではなく、従業員の方にも学んでもらうことは、従業員の方の士気が高まるということです。
前述のように、研修を複数で受けることは、研修の内容を共有でき、複数の人で改善活動に臨むことができるという利点だけでなく、受講した人の士気や当事者意識が高まることが期待できます。事業活動は組織的な活動なので、その組織の改善活動も組織的に行うことが適切なはずなのですが、その点に気づいている経営者の方は、意外と少ないのではないでしょうか?繰り返しになりますが、会社の改善活動は組織的に行うことの方が効果が高い、いえ、むしろ、組織的に行わなければ効果を得ることができないということを、森田さんのお話を聴いて、改めて感じることができました。
2021/12/26 No.1838