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[要旨]

アマゾンでは、プロジェクトが完了すると、成功したかどうかにかかわらず、ポストモーテム(事後検証)を行っています。これにより、組織としてノウハウが蓄積され、次のプロジェクトに活かすことができるようになります。それが、アマゾンのパフォーマンスを高めていると言えます。


[本文]

前回に続き、今回も、アマゾンジャパンのOBで、経営コンサルタントの佐藤将之さんのご著書、「amazonのすごい会議:ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法」から、私が注目したことについて説明したいと思います。今回は、ポストモーテムについて述べたいと思います。「プロジェクトが完了したときには、振り返りのミーティングを行い、ポストモーテムを行うことが重要です。何がうまくいったか、何が失敗したか、次にやるときにどこに注意すれば、もっとよりよくできるか、ここまでやり切るのが、プロジェクトオーナーの責務です。

ところで、『プロジェクトの振り返り』と聞くと、日本では『反省会』をイメージする人がいますが、それは誤解です。これはポストモーテムに限らないことですが、アマゾンでは『ハイライト』と『ローライト』という表現で、良かったことと悪かったことの両方について振り返り、記録を残すようにしています。成功要因を分析し、そこから学べることも整理して共有しておけば、誰かが同じことをやるときに再現性が高まります。

社内にこうした文書が残されていると、後から情報を探している人の目に留まり、それを参考にして次の試みに活かしたり、担当者に、直接、話を聞きにいくことができます。同じことをより良い形で再現できれば、組織力は一層高まります(中略)こうした学習をどれだけ積み、活かせるかが、仕事のアウトプットや企業のパフォーマンスの差となっていくのだと思います」

佐藤さんのご指摘は、ほとんどの方がご理解されると思います。しかし、実態としては、次の事業に活かすためのポストモーテムを行っている会社はあまり多くないようです。その理由のひとつは、経営者が、事業がうまくいけばよいとだけしか考えていないということが考えられます。ふたつめは、ポストモーテムが重要とは分かっていても、余力がないという状態なのではないかと思います。

ただし、前述のように、「学習の積み重ねが企業のパフォーマンスの差」になっているということを考えると、ポストモーテムを実施するかどうかが、ますます、重要になっていることは明らかです。これは、裏を返せば、業績を高めるためには、ポストモーテムを実施しなければならない時代になっているということではないでしょうか。

2022/2/14 No.1888

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