銀行職員のスキルが低いときの対応
[要旨]
自社担当の銀行職員のスキルが低いと、その銀行との関係が希薄になるかもしれないという懸念を抱いてしまいますが、基本的には、その銀行の融資課長や支店長とも面識をつくっておくことで、緊密な関係を維持することができます。
[本文]
前回は、融資を受けている銀行との関係を強化するには、自社の強みが、決算書にどのように反映されているかを説明すればよいということをお伝えしました。この記事に関し、何人かの方から、そのような説明をしても、銀行職員に、よく理解してもらえないことがある、というようなご経験談が届きました。私は、そのような例はそれほど多くはないとは思いますが、確かに、融資審査に関するスキルがあまり高くない銀行職員に、ときどき会うことがあります。
だからと言って、仮に、自社担当の銀行職員のスキルがそれほど高くないとしても、銀行に自社の業況を説明に行くことは、決して無駄ではありません。なぜなら、説明に行くという行動自体が、銀行からは評価されるからです。また、説明する相手は、自社担当の職員に限られているわけではなく、融資課長などの融資部門の責任者や支店長に対しても行えばよいし、直接、課長や支店長に口頭で説明できなかったとしても、担当者に渡した資料は、後で必ず課長や支店長も目にします。
とはいえ、自社の融資担当者のスキルが高くないと、銀行と親密な関係を結びたい側としては、心もとないことも事実です。そのような場合は、融資課長や支店長と面識を作っておくとよいと思います。当然、通常の融資の申し込みは自社担当者を通して行いますが、月に1回程度、銀行に訪問し、融資課長や支店長などに、現在依頼中の融資の概要や、今後の融資の依頼の予定などを話しておけば、担当者が融資の依頼をかかえこんでしまったり、こちらの意図が上席者に伝わらないということを防ぐことができます。
さらに、それでも心もとないという方は、融資申請の支援をしているコンサルタントなどに依頼し、自社の状況を説明する内容を書面でまとめて、3か月程度ごとに、銀行に報告しておくと、急ぎの融資の申し込みをしなければならなくなったときにも、迅速に対応してもらえるようになるでしょう。なぜなら、そのような業績を報告する書面があると、銀行職員は、融資判断をしやすくなり、また、融資稟議書も書きやすくなるからです。それでも、その銀行との関係が改善されないと感じた場合は、やはり、融資専門のコンサルタントなどに相談しながら、別の銀行の融資シェアを高めていくという方法をとるとよいでしょう。いずれにしても、スキルの高くない銀行職員が自社担当であった場合、何らかの対策をとることは可能です。
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