地銀の店舗減少による融資取引への影響
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日本経済新聞によれば、地方銀行の店舗の3割、3,000店舗に削減の余地があるそうです。今後、地方銀行は経費削減のために、店舗削減を進めるため、融資取引は、専門部署が受け付けることになる例が増えると思われます。
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日本経済新聞が、地方銀行の店舗削減について報道していました。「全国の地方銀行の店舗およそ1万店のうち、3割に相当する3,000店舗近くに削減の余地があることがわかった。日本経済研究センターが地銀の店舗戦略を分析、試算した。実際に減らした場合、地銀の営業経費は、全体の2割にあたる5,000億円以上圧縮される見通しだ」削減の余地があるとはいえ、実際に3,000店舗が減るとは限りませんが、今後、経営統合や合併によって、削減の余地は、更に広がると考えられます。
20年ほど前までは、銀行は、事業を拡大するために、店舗を増やしてきました。それは、店舗を増やすことで顧客を増やすことになったからです。しかし、現在は、キャッシュレスが進んできたことなどから、物理的な店舗を増やしても、顧客の利便性の増加にはあまり貢献しなくなったことから、銀行にとって、店舗が多いことは、逆に、効率性を下げることになりつつあります。
したがって、今後、地方銀行も、フルバンク型店舗(預金・融資・為替などのすべての業務を行う店舗)を減らし、投資信託や住宅ローンなどの採算の得られる業務だけの店舗は残すものの、それ以外の業務を行う店舗は、集約されていくでしょう。例えば、融資取引は、近隣の店舗ではなく、「●●法人営業部」などという名称の、融資取引専門部署が担当することになる可能性が高くなると思われます。融資専門部署が融資の受付をするようになると、財務諸表などの数値が重視されるようになるでしょう。これからは、このような、地方銀行の店舗減少を、中小企業も意識する必要性が、ますます高くなると思います。
2022/1/4 No.1847