自分の能力が低いことに気づく能力
[要旨]
自分の欠点に向き合うことはつらいことですが、それができるかどうかで、自分を成長させられるかどうかが決まります。
[本文]
心理学博士の榎本博明さんの著書、「薄っぺらいのに自信満々な人」を読みました。(ご参考→ https://amzn.to/2zLEOtA )この本を読もうと思った理由は、それほどの理由ではなく、単に、「過剰に自分をアピールをする人が結構いるけれど、そういう人と接するのは面倒なので、どう、対処すればいいのかが、この本で分かるかもしれない」と思ったからです。これに対する直接的な答えは書かれてはいませんでしたが、結局、「薄っぺらい人」には惑わされないようにすればよいということのようです。
ただ、薄っぺらい人が、薄っぺらいのに、なぜ、自信満々でいられるのか、という理由は分かりました。それは、能力の低い人は、自分の能力が低いことに気づく能力も低いのだそうです。これは、米国の心理学者の、ダニングとクルーガーによって実証され、ダニング・クルーガー効果と言われているそうです。そして、当然のことですが、これを裏返せば、ビジネスで成功している人は楽観的ではないそうです。例えば、榎本先生は、稲盛和夫さんがお話しされた、「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という言葉を引用して、能力の高い人ほど多くの事態を想定し、前もってそれに対処できるよう準備していると説明しています。
榎本先生は、もうひとつの例として、元MLB選手の松井秀喜さんの言葉も引用しています。「日本でプレーしていたときもそうでしたが、重要なのは、自分は不器用で野球の素質もないのだと認識すること、つまり己を知り、力の足りない自分自身を受け入れることだと思う」松井選手の業績の偉大さは誰も否定しないと思いますが、そういう人ほど、冷静に自分の欠点に向き合い、それに対処しているということなのでしょう。人間にとって、自分の欠点に向き合うことはつらいことですが、それができるかどうかで、自分をさらに成長させられるかどうかが決まるのだということを、榎本先生の本を読んで、改めて認識しました。