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[要旨]

銀行職員の中には、融資業務に精通しているものの、とても気をつかう方がいるときがあります。そのような方は、機嫌を損ねられないように接するしかありませんが、助言を求めるような姿勢で接すると、自社にとっても有益な情報を得ることができるでしょう。


[本文]

私がかつて銀行に勤務していたときに、いわゆる、「融資の神さま」に何人か会いました。とはいっても、「融資の神さま」とは、私が勝手に名づけたので、他の人は、別の呼び方をしているかもしれませんが、とても融資業務に精通している人です。融資に関してはエキスパートで、周りの人を寄せ付けないくらい、多くのことを知っています。ただ、融資の神さまは、ちょっと偏っていることが多いのです。

最も多い例は、対人関係構築があまり上手ではありません。正直、同僚からも、顧客からも、苦手にされることが多いです。でも、機嫌を損ねられてしまうと、融資業務が回らなくなるので、上司、同僚、部下、そして顧客までも気を使って接しています。そして、前述した通り、融資の神さまは、たくさんいるわけではありませんが、かといって珍しいわけではなく、大規模店舗の融資課や、本部の融資審査部門には、そのような人が結構います。

さらに、融資の神さまは、私が勤務していた銀行だけでなく、他の銀行にもいるようでした。なぜ、そのようなことがわかるのかというと、私が銀行勤務時代に、担当している会社を訪問すると、「先日、●●銀行の●●さんっていう人から、『もし、こんど赤字になったら、もう追加融資はしない』って厳しいことを言われたんだけど、あの人を怒らせるとたいへんだから、なんとか今期は黒字にしないといけない状況なんです」というような話を、社長さんからきいたりするからです。

では、融資の神さまが自社の取引銀行にいたらどうしたらよいかというと、実は、抜本的な解決策はありません。せめてできることは、融資の神さまとお話しするときに、その人の上司に同席してもらうようにすることくらいですが、いつもその方法を使うことができるとは限りません。したがって、ちょっと気をつかうかもしれませんが、あまり反論をせず、話をよくきいて、感情を害しないようにするしかありません。

もし、理不尽と思うことを要求されたと感たじら、「その件については、近いうちに支店長さんともお話させていただいてもよいでしょうか?」と、少し牽制するしかないでしょう。ただ、融資に関する知識やキャリアについては高いプライドを持っているので、いろいろ助言を得たいという姿勢でお話しすると、有益な情報を得られる可能性があります。むしろ、融資業務に関して、あまり知識がない銀行職員よりは、とても頼りになります。

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