統合バンキングクラウドによる影響
[要旨]
40の銀行が、基幹システムをクラウドサービスに切り替えることが公表されました。この流れは、やがて、融資システムなども統合されることが予想されます。これによって、複数の銀行が同一の融資規則で融資業務を行うことになり、融資業務が変わる銀行が現れることに注意が必要です。
[本文]
11月18日に、NTTデータが、「統合バンキングクラウド」の検討を開始すると公表しました。これは、地方銀行などのシステムのメインフレーム(ホストコンピュータ)を、クラウド化するサービスのようです。もちろん、これは、地方銀行のコストを削減するためのサービスで、直接的に、利用者への影響はないと思います。ただし、現時点ではここまでは言及されていませんが、将来は、ソフトウェアまで共通化されていくのではないかと、私は考えています。
すでに、複数の銀行がシステムを共同化している例が4つありますが、これらはいずれも統合バンキングクラウドに移行される予定であり、そうであれあば、ソフトウェアも収斂されることは自然な流れだと思います。そうなれば、利用者、特に融資を受けている中小企業にとっての影響が現れてくると思います。かつては、銀行システムは、銀行ごとにつくられていましたが、もちろん、それは、その銀行の考え方が反映されます。
そして、そのシステムに合わせた融資規則が作られています。ところが、複数の銀行のシステムが統合されれば、異なる銀行がひとつのシステムを利用するので、個々の銀行の考え方が反映されにくくなります。これは、言い換えれば、複数の銀行のシステムが統合されれば、そのシステムを使っている銀行の融資規則も、ほぼ同じものになるということです。このシステム統合は、規模の大きい銀行がイニシアティブ持つことが一般的であり、規模の小さい銀行の考え方は反映されにくい傾向にあります。
そうなると、システム統合によって、規模の小さな銀行が、規模の大きな銀行の融資規則で融資業務を行うということになります。すなわち、銀行ごとの融資業務に対する考え方の差が縮小してくることになります。したがって、現在、規模が小さい銀行だけと取引がある中小企業は、その銀行のシステムが統合されると、その大きさを実感することになるかもしれません。とはいえ、事業活動に真摯に臨んでいる会社は、銀行の融資方針の変更の影響は軽微ですので、過度に、銀行のシステム統合に反応する必要はないでしょう。
2022/11/23 No.2170
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