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基本的なことの改善の効果が大きい

[要旨]

山梨県の弁当製造会社では、取引銀行の支店長から、部門別の採算管理や、製造工程の適切な人員配置の助言を受け、それを実践することで業績が改善しました。中小企業の多くは、自己流で事業活動を行っている傾向にあることから、基本的なことを改善することで、大きな効果が期待できます。

[本文]

共同通信編集委員の橋本卓典さんが、ダイヤモンドオンラインに、山梨県北杜市にある駅弁製造会社の丸政が、山梨中央銀行小渕沢支店の支店長から助言を得て、業績を回復したという記事を掲載しておられました。同社の売上は、近年は、電車の車内で食事をする乗客が減って来たことから、下降傾向にあったそうです。そこで、山梨中央銀行の支店長が、事業改善のために同社に助言をすることになったわけですが、ひとつめは、部門別の管理をすることでした。

さらに、その支店長の後任の支店長は、自ら工場のラインに立ち、ラインごとにリードタイム(個々の工程の所要時間)を計測し、各工程における従業員の作業の最適な時間配分を割り出したそうです。これにより、受注量に対して、それを製造するために必要な従業員数が明確になり、正確な受注ができるようになったそうです。とはいえ、この2人の支店長の助言は、画期的なものではなく、極めて基本的なものです。

このように申し上げては恐縮ですが、私も中小企業の事業改善のお手伝いをしてきて感じることは、多くの中小企業は、自己流で事業を行っていることが多く、また、外部から助言を受けることが少ないため、基本的なことを行うだけで大幅に改善する余地があるということです。ただ、中小企業の場合、仕事のやり方を変えることそのものに対する抵抗が大きいので、改善もなかなか進まないという状況になっていることが多いのではないかと思います。

ところで、フィクションですが、映画「県庁の星」では、主人公の県庁職員が、出向先のスーパーマーケットで、商品の鮮度管理と在庫管理の仕組みの改善を行い、業績を向上させています。改善活動というと、ヒット商品を生み出したり、新たな販売ルートをつくったりという派手な方法を思い浮かべがちですが、中小企業の場合、基本的なことを改善してみることの方が、労力が比較的軽く、すぐに効果が得られるのではないかと、私は考えています。ただ、自社ではなかなか改善点を見つけることができないという場合は、銀行、商工会議所、中小企業診断士などに相談してみるとよいと思います。

2023/4/23 No.2321

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