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革新的技術研究成果活用事業活動計画

[要旨]

2021年に、経済産業省は、「革新的技術研究成果活用事業活動計画」を制定し、ベンチャー企業に対して、民間銀行が、ベンチャーデットなどの新しい手法の融資を行う場合、その50%の政府保証を行うことが可能になりました。このことが弾みとなり、今後、民間銀行によるベンチャー企業への融資事例が増加していくことが期待できます。

[本文]

2023年8月9日の日本経済新聞に、地方銀行が、スタートアップ企業に対して、ベンチャーデットという手法による資金提供を行うようになったという記事を掲載しました。私は、ベンチャーデットそのものには詳しくないのですが、ベンチャーキャピタルに対する対語だと思います。すなわち、ベンチャーキャピタルは、ベンチャー企業に対して株主として投資をする手法であるのに対し、ベンチャーデットは、ベンチャー企業に対して融資することのようです。

もちろん、単なる融資であれば、「新しい手法」ではないので、ベンチャーデットによる融資を行うときは、融資する会社の新株予約権を銀行が取得するなどの条件があるようです。ここで、銀行が新株予約券を得ることに、どれくらいの効果があるのかという疑問を持つ方もいると思いますが、それは別の機会に説明したいと思います。

では、なぜ、地方銀行がベンチャーデットを行うようになったのかというと、それは、経済産業省の後押しがあるようです。すなわち、ベンチャーデットを行うと、その金額の50%を、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が保証する制度があるということです。ここで、実質的な政府保証があることについても、賛否両論があると思いますが、これについては、民間金融機関の背中を押す役割を担うものとして、私は肯定的に考えています。

というのも、経済産業省は、「民間金融機関にとって、スタートアップと従来の一般的な貸出先とでは、担保資産が僅少・事業見通しが不安定等、融資判断の状況が大きく異なり、現状、ベンチャー向け融資の実績が積み上がらず、実績が上がらないためノウハウが蓄積しないという悪循環に陥っている」と分析しており、これを取り除くためには、政府保証は有用だと思います。そして、少し時間はかかると思いますが、これからは、銀行が赤字のベンチャー企業に対しても果敢な融資を行う例が増えて来ると、私は期待しています。

2023/8/22 No.2442

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