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コンサルタントはあくまで『使う』もの

[要旨]

事業の改善のために、会社がコンサルタントを活用することは大切ですが、会社側が主体的に改善活動を行わなければ、受動的な活動しかできず、真に効果のある改善活動を実践することができません。そこで、意思決定や実行のオーナーシップは、コンサルタントを使う側が堅持しなければなりません。


[本文]

今回も、前回に引き続き、ブリヂストンの元社長の荒川詔四さんのご著書、「参謀の思考法-トップに信頼されるプロフェッショナルの条件」から、私が気づいた点について述べたいと思います。「かつて、経営が悪化した海外企業を買収し、経営統合に動き出したばかりの頃のことです。実際に経営統合をするにあたって、調査チームがその会社の実態を調査したのですが、調査結果の報告会において発表された『総合評価』が、驚くべきものだったのです。(中略)

調査チームによれば、『率直に言って、この会社の社長の意識は別かもしれないが、経営のオーナーシップを失った執行担当の経営層は、自分の頭で考えない、自分の意見を持たない、発言しない、無責任の烏合の衆になっている』ということです。そして、その主な原因のひとつが、”経営改革”と称して、何社ものコンサルタント会社が入り込んで、まったく結果がでない多くの改革プロジェクトを、彼らの指導のもとに、何年も延々と続けていたことにあると結論づけたのです。(中略)そこで、その会社との経営統合を始めるにあたって、まず、第一に、”経営改革”を担当していたコンサルタント会社との契約をすべて破棄することか着手しました。

ただし、このようなひどい事態を招いたのは、コンサルタントのせいではなく、むしろ、彼らの言いなりになって、結果も出ないのに、ズルズルとコンサルタン契約を続けてしまった経営陣と、その参謀たるべき人々の思考力の弱さに問題があったというべきでしょう。必要であれば、コンサルタントの知恵を使うことは何の問題もありませんが、コンサルタントは、あくまで『使う』もので、意思決定や実行のオーナーシップは、『使う側』が堅持しなければなりません。その意識を失ったときに、会社は『意思のない烏合の衆』になり、根本から腐っていく恐れがあるのです」

荒川さんは、コンサルタントには否定的ではないのですが、荒川さんもご指摘しておられるとおり、会社側がしっかりとした意思を持っていなければ、コンサルティングを受ける意味が無くなり、その結果、コンサルティングフィーが無駄になってしまいます。私も、会社側が、改善活動をコンサルタント側に丸投げしようとし、また、コンサルタント側もイニシアティブを握りながら、かつ、フィーを得られることから、お互いに依存的になっている状態を、何度か見てきたことがあります。

このような状態は、お互いにとって不幸な結果に至ることなので、私がコンサルタントして関わるときは、クライアントが依存的になっていないことを確認するようにしています。そして、このようなことを書くと、上から目線になってしまうのですが、コンサルタントの役割は、改善活動を加速させてくれますが、会社側が自らが改善のための活動を行わなければ、コンサルタントを活用する意味はまったくなくなってしまうということに、注意しなければならないと思います。荒川さんのご経験を受け、この考え方の大切さを改めて感じました。

2022/2/24 No.1898

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