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売文句の役割は集める顧客を決めること

[要旨]

売り文句には、集める顧客を決めるという側面があります。例えば、低価格を売り文句にした場合、価格を第一義に考える顧客を集めます。したがって、売り文句は、自社のマーケティング戦略を的確に示すものにすることで、整合性のとれた効率的なマーケティング活動が実現します。

[本文]

今回も、前回に引き続き、中小企業診断士の佐藤義典先生のご著書、「図解実戦マーケティング戦略」を読んで、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。ここまでマーケティング戦略についてご説明してきましたが、佐藤先生は、その戦略について顧客に伝える売り文句が重要であるとご説明しておられます。「売り文句には、集める顧客を決めるという側面があります。

例えば、『低価格』を売り文句にした場合、『価格』を第一義に考えるお客様を集めるのです。1980年代の米国電話業界は、激しい価格競争を行っていました。AT&T、MCTなどの電話会社が、顧客を文字通り『奪い合って』いたのです。当時、主流だった販促は反則は、値下げと、自社回線に加入した場合のキャッシュバックでした。そして、この価格競争からわかったことは…低価格を訴求すると、低価格を求める顧客が集まる、ということです。

つまり、一度は自社の顧客になっても、他社のほうが低価格なら、すぐそちらに変えてしまう、自社にとってありがたくない顧客が集まったのです。その原因は、もちろん、低価格を訴求したことにあります。これに気づいた電話各社は、その後、囲い込み戦略へと、大きく舵を切っていくことになります。逆に、高価格・高品質を訴求すれば、それを求めるお客様が集まることになります。(中略)売り文句によって、集まる顧客が変わるわけです」(60ページ)

この売り文句で私が思い浮かべる事例は、東京都町田市にある、家電販売店の、「でんかのヤマグチ(株式会社ヤマグチ)」です。同社の売り文句は、「ヤマグチはトンデいきます」です。同社では、安売りはしませんが、手厚いアフターサービスで高い利益率を維持しています。具体的には、4時までに連絡すれば、当日中に修理訪問をしたり、配達をしてくれたりするそうです。同社は、こういった、無形のサービスを求める顧客に絞り込んで、手厚いサービスをしているわけですが、それを示す売り文句が、「ヤマグチはトンデいきます」ということです。

もちろん、売り文句が適切かどうかの前に、同社のマーケティング戦略があり、それが奏功して同社の業績は順調に推移しているわけですが、「ヤマグチはトンデいきます」という売り文句は、同社の戦略を顧客に的確に伝え、同社の戦略を、より際立たせていると考えられます。その結果、同社はアフターサービスを重視する、同社にとっての標的顧客を呼び寄せていると、私は考えています。

2023/1/31 No.2239

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