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コロナ関連融資の銀行の引当金への監査

4月22日、日本公認会計士協会は、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その4)」を公表しました。その中で、「銀行等金融機関の自己査定及び償却・引当に関する留意事項」に関し、次のように言及しています。すなわち、「監査人(監査法人や公認会計士)は、銀行等金融機関の資産査定基準、及び、銀行法施行規則等におけるリスク管理債権(特に、貸出条件緩和債権)の判定基準について、3月6日の金融担当大臣談話、及び、4月20日に閣議決定された緊急経済対策を理解した上で、適切に運用されていることを確かめることが必要となることに留意する」というものです。

これは、3月6日の金融担当大臣談話の、「返済猶予等の条件変更した場合の債権の区分など、個別の資産査定を含め、民間金融機関の判断を尊重する方針としていることから、この趣旨も踏まえ、積極的に事業者支援に取り組んで頂くよう要請する」という内容と、4月20日に閣議決定された緊急経済対策に、「民間金融機関による、迅速、かつ、柔軟な既往債務の条件変更や新規融資の実施等を要請し、検査・監督の最重点事項として、取組状況を報告徴求で確認することで、更なる取組を促すとともに、返済猶予等の条件変更を行った際の債権の区分など、個別の資産査定における民間金融機関の判断を尊重し、金融検査においてその適切性を否定しないものとする」という内容を考慮するというものです。

手っ取り早く言えば、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社に対して、銀行が、新規融資を行ったり、リスケジュールを行ったりしたとき、その新規融資や、条件変更を行った融資について、貸倒引当金を積まない判断をしても、それを尊重するということです。銀行は、一般的には、売上や利益が減った会社に対して、新規融資を行ったり、リスケジュールを行ったりするときは、その融資に対して引当金を積む(融資が返済されないと見込まれる金額を費用として計上する)ことが求められます。これを、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社に対しても適用しなければならないとすれば、銀行に資金繰支援を躊躇させる要因になります。

しかし、行政当局は、「貸倒引当金を積まなくてよいから、資金繰支援を迅速に行って欲しい」と、銀行等に要請をしていることから、日本公認会計士協会も、監査において、それを考慮して監査するということです。新型コロナウイルス感染症の影響を受けている会社は、倒産のリスクが高いということは事実であると思いますが、いまは、潜在能力のある会社を救うことが優先される時期であり、政府や日本公認会計士協会の方針は、妥当であると思います。

そして、日本公認会計士協会が、政府の方針に添って銀行等を監査するということが公表され、銀行等も、より積極的に融資取引先の支援に専念できるようになるでしょう。なお、当事務所では、新型ウィルス感染症の影響を受けた会社さまからのご相談については、電子メールでのみ、無償でお受けしておりますので、ご希望の方は、こちらからお寄せください。→ http://yuushi-zaimu.net/contact/

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