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低金利が長引くと融資を受けにくくなる

[要旨]

低金利が続く中、最近は、業況のよい会社であっても、銀行から見て取引の採算が合わないことを理由に、融資を断られることもあるので、銀行との円滑な取引を継続する場合は、銀行にとってもメリットにも注意することが必要です。


[本文]

先日、ある地方銀行の支店長からお話を聞いたのですが、最近、他の銀行から融資を断られた会社から、融資の打診を受けることが増えているそうです。そのような会社が、他の銀行で融資を断られた理由は、会社の業績が悪いからではなく、融資取引の採算が合わないからだそうです。融資を受ける側からすれば、融資金利が1%以下であっても当たり前と感じている会社も多いと思いますが、銀行から見ると、金利が1%未満の融資取引は、あまり魅力的ではないようです。

ニュースでは「マイナス金利」という言葉を聴くことがありますが、それは、信用度が高い、すなわち回収できる確率がほぼ100%で、かつ、ディーリングルームでディーラーが電話するだけで、10億円単位の売買契約が成立するような、事務コストがほぼ0の場合にあてはまるものです。一般的な中小企業への融資取引は、信用コストや事務コストが必要であり、1,000万円単位の融資であっても、金利が1%未満であれば、あまり採算がとれるわけではありません。

現在まで、金融業界では長く低金利の状態が続いていますが、その結果、ここに至って、銀行が採算重視にシフトする状況にまでになったのでしょう。このような傾向がよいか悪いかという議論もしたいところですが、そうはいっても、銀行業務も営利事業であることから、採算を重視しようとすることは避けられないでしょう。いままでは、会社の業況がよいというだけで、ほぼ融資を受けることができていましたが、これからは、銀行から見て融資取引のメリットが感じられない場合は、融資を断られることもあるということに注意した方がよいでしょう。

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