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プロセス重視は言葉だけでは足らない

[要旨]

人は防衛本能から責任を回避しようという傾向がありますが、部下に、そのような傾向を改善してもらうためには、部下の行動に対し、結果よりもプロセスを評価するということを、言葉だけでなく姿勢でも示す必要があります。


[本文]

前回、「決断をしないことで、責任を回避することもできると思う人もいるが、決断をしない場合、決断をしないことを決断していることになる」と書きました。すなわち、人は、活動している限り、何らかの決断をすることを避けることはできないのですが、表面的に決断をしていないということにして、責任を負うことを避けようとする傾向があります。

責任感のある多くの経営者の方は、このようなことはしないのですが、強く意識していなかったり、単に目の前の面倒なことを避けようとしかしなかったり、自信がない人は、前述のようなことをしてしまいがちなのでしょう。でも、特にビジネスパーソンは、決定を避ける、責任を避けるという姿勢では、事業もうまくいかなくなるということは、言及するまでもありません。

そこで、もし、経営者の方が、従業員の方にも、経営者と同様に、自律的、積極的に活動して欲しいと望むのであれば、決定することの大切さを伝えたり、仮に結果が失敗であっても、決定したことを評価するという価値観を伝えたりする必要があると、私は考えています。むしろ、失敗はしていなくても、意思決定を避けた人がいた場合、そのような姿勢で仕事をしていることの方が評価が下がるということを、従業員の方に伝えなければなりません。即ち、「成功の反対は、失敗ではなく、何もしないこと」という価値観を、会社の中に定着させることが、経営者の方にとって重要でしょう。

とはいえ、ここまで書いてきたことも、私があえて言及するまでのことではない、当たり前のことと思われる内容です。でも、「うちの会社では、チャレンジ精神を大切にしている」と口にしながら、従業員の方が失敗をしたとき、「どうしてこんなことをしたのだ」と、結果にしか関心を示さなかったり、従業員の方が意見を述べたときに、その場で、「それは間違っている」と、即座に否定してしまったりする経営者の方は、少なくありません。

経営者の方が、そのような姿勢で従業員の方と接していれば、従業員の方は、「言われたことだけをしていればいい」と考え、消極的にしか仕事をしなくなってしまうでしょう。経営者の方は、「失敗を恐れるな」と、口で言うことは少なくないですが、普段の接し方では、結果だけを求めているという例は意外と多いと、私は考えています。

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