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[要旨]

会社の融資に否定的な経営者の方は、融資利息の支払いを避け、利益を増やそうと考えているようです。それは、財務会計の観点からは正しいと言えますが、手許資金を厚くし、経営環境が悪化したときに備えるという観点からは、必ずしも適切とは言えません。


[本文]

前回は、従業員教育は投資と考える経営者は多く、また、それは正しい考え方ですが、財務会計では、研修費は費用にしかならないということを述べました。今回は、また、別の面から管理会計について述べたいと思います。会社経営者の方の中には、融資は受けない方がよい、また、融資を受けなければならないときも、最小限の金額にすべきと考えている方は少なくないようです。そのような考え方の理由のひとつは、融資を受けると、その返済負担が増えるので、それを避けたいといことでしょう。

そして、もうひとつは、融資の金利はなるべく少なくしたいということでしょう。これについては、「財務会計」の観点からは、正しいと言えます。融資額が増えると、貸借対照表の額を大きくすることになり、それは資本効率が悪化することになります。また、支払利息が少ない方が、経常利益は多くなります。しかし、リスク管理の観点からは、融資額を最小限にすることは、必ずしも賢明とはいえません。

特に、いま、日本では、新型ウイルスの影響で業績を下げた会社がたくさんありますが、融資を受けていたことで、手元資金が多かった会社は、ピンチを抜け出す対策を迅速に実践し、業績を回復させるチャンスが高くなっているようです。もちろん、やみくもにたくさんの融資を受ければよいということではありませんが、単純に、支払利息を減らせばよいということでもありません。経営者としての判断は、多面的な観点で行うことが大切です。

2022/4/3 No.1936

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