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[要旨]

内閣官房の非財務情報可視化研究会で、人的資本可視化指針が検討されています。現在は、人への投資をすることが、業績を高める重要な要素であることから、人への投資の状況の開示によって、投資家や銀行は、資金提供しようとする会社への評価を、より正確に行うことができるようになります。

[本文]

内閣官房に設けられた、非財務情報可視化研究会で、人的資本可視化指針が検討されています。人的資本可視化は、米国では、すでに、上場会社に義務付ける方針が固まっているようです。このように、「人への投資」が重視されるようになってきている背景には、これからは、「人への投資」に取り組まなければ、会社の競争力が高まって行かないという考え方が、広く認識されるようになってきたからのようです。

これについては、多くの方も同様に考えると思いますが、現時点では、上場会社が、具体的に、どのような活動をしているのかについては、投資家や銀行などの部外者は、IR資料などで、人材戦略までしか知ることができない状態です。そこで、スキル向上の研修内容、研修にかけた時間や費用、従業員の仕事や会社に対する満足度、男女間の給与格差、離職率などの開示を義務付けることが検討されているようです。

とはいえ、すでに多くの会社が、人への投資が重要と考え、実際にそれを行っています。その一方で、残念ながら、まだ、すべての会社が積極的に人への投資を行っているとは言えないようです。したがって、投資家や銀行からみれば、人への投資が可視化されれば、より、適切な評価が可能になるでしょう。ただ、私は、人への投資は、開示制度で促進されるべきものではないと思います。

例えば、ISO認証なども、一部の会社では、ISOを事業に活かそうとすることよりも、受注を得る条件を満たすことや、社会的イメージを高めることを主な目的としているため、実際に、ISOは活用されていないということもあるようです。そこで、「人的資本可視化」をきっかけとして、単に、開示するためだけのものとせず、人への投資を真に活かす会社が増えて欲しいと考えています。

2022/6/28 No.2022

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