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経営がうまくいかない会社は店舗も汚い

[要旨]

嵜本さんがリユース会社で働き始めたところ、リユース品を買い取りに行った会社のうち、事業が伸びていて、別のところに移転する会社は、店舗が綺麗で、従業員の応対も明るかった一方、業績が悪く、店を畳むことにした会社は、店舗が汚いということに気づいたそうです。業績と店舗の綺麗さには、直接的な因果関係はないものの、嵜本さんは、店舗を綺麗にすれば業績もよくなると考えるようになったそうです。

[本文]

今回も、前回に引き続き、バリュエンスホールディングス社長の、嵜本晋輔さんのご著書、「戦力外Jリーガー経営で勝ちにいく-新たな未来を切り拓く『前向きな撤退』の力」を読んで、私が気づいがことについて述べたいと思います。前回は、嵜本さんがサッカー選手を辞め、父親の経営するリユース会社で働いていたとき、リユースの仕事を楽しめるよになったのは、かつて、佐川急便で働いていたときと比較することができたからであり、もし、好きな仕事が見つからないという人は、いろいろな仕事の経験を積むことで、好きな仕事が見つけられるようになるということを説明しました。

これに続いて、嵜本さんは、リユース品の買い取りをする中で、その買取相手に関し、嵜本さんが気づいたことについて説明しておられます。「買い取り先は、一般家庭のこともありましたが、圧倒的に多かったのは、閉店が決まった店舗です。何らかの理由で営業を辞めると決断したとき、とりわけ、飲食店に出かけていく機会が多くありました。繁盛しすぎて手狭になり、もっと広い、好立地のところへ移転するために閉店する、という店もなくはありませんでしたが、その大半は、経営がうまくいかなくなったために、畳まざるをえないという店でした。

そうした店舗での買い取りを繰り返すうちに、閉店に追い込まれるような店にはいくつかの共通点があることに、私は気がつきました。その最たるものは、経営がうまくいかなくなった店は、すべからく『きれいではなかった』ということです。什器をどかしたその後に、ほこりが溜まっているなどは序の口、こびりついて取れないような油汚れが放置されていたり、ひどい店だと、虫の死骸が転がっていたりということもありました。

その一方で、明るくて清潔なだけでなく、雰囲気がよく、私たちのような業者にもさわやかに挨拶をしてくれるような店は、大抵、買い替えやよりよい立地に移転するなどのために不要になった什器の引き取りを依頼してくる、という傾向がありました。うまくいっている店だから明るい、うまくいっていない店だから汚い、因果関係をそう見積もることもできます。しかし、こう考えることもできるでしょう。明るくきれいな店だからうまくいっている、汚い店だからうまくいかないと」(76ページ)

この嵜本さんのご指摘は、私にとっても耳が痛いものです。確かに、事業活動と業績の直接的な因果関係はありません。私も、事業改善をお手伝いしている会社に、「業績を改善するために、整理整頓を実践しましょう」と伝えても、ほとんどの会社では、「整理整頓と業績は関係がない」という反応が返ってきます。ただ、直接の因果関係は示すことができなくても、嵜本さんがご指摘しておられるように、両者に正の相関関係があることは確かです。しかも、整理整頓は、難易度が高いものではないので、やろうとすればどんな会社でも実践できる改善活動です。

そして、整理整頓をするこの弊害もありません。そうであれば、整理整頓を実践することの価値があると考えることができると思います。むしろ、整理整頓を実践していな会社は、整理整頓「だけ」ができないのではないかと思います。もともと、その場だけの成行的なことしか行おうとしないから、整理整頓も実践できないし、また、普段の事業活動でも、顧客の潜在的な要望を汲み取ることで、、ライバルを超える対応をしようとしないため、業績がなかなか改善しないのではないでしょうか?まずは、整理整頓など、できることなら何でもやるという、改善意欲を持つことが鍵になると思います。

2023/6/30 No.2389

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