店長会議でADHDを宣言してきた

ボクは今、東京で飲食店の店長をやっている。自分の店ではないのでいわゆる雇われ店長ってやつだ。そして、今日は会社の店長会議だった。

いつもなら社長からの話があって、各店舗からの報告があって、全体の総括をして終わりという流れなのだが、今日はちょっと違う。会議の最後にボクが店長辞任の挨拶があるからだ。

ADHDが発覚してからすぐに考えたのが「このまま自分が店長を続けていっていいのか」ということ。そもそも病院の精神科を受けたのも、原因不明の体調不良や精神不安定な状態に悩まされて、店のメンバーや営業に悪い影響を与えてしまうことが多くなったからだ。

原因がADHDとわかった今、このまま続けても状況がよくなることはまずない。それどころか、さらに悪くなる可能性の方がでかい。障害なんかぶっ飛ばしてもっとやってやるんや! みたいな気合いは残念ながらわいてこなかった。

これは、辞め時かもしれん。

前々から薄々考えていたことだけど、障害が発覚したことで決心がついた。病院で診断を受けたその足で、上司ところに行って辞任の意思を伝えた。上司も初めは「気持ちの問題だろ?」ぐらいに笑って聞いていたが、ボクが本気の本音でしゃべっているとわかったら最後は受け入れてくれた。

「仕事がつらいんで店長やめさしてください」なんて、我ながら情けない理由だけど、本当なんだからどうしようもない。

で、店長会議。社長と全店舗の店長の前でボクは最近の状況、病院での診断、店長を部下に引き継ぐことを伝えた。みんなわかったようなわかんないような、なんとも言えない表情をしていた。そらそうや。逆の立場だったらボクも同じような顔をしているだろう。

「まあ、最近よくあるみたいだしね。検査受けたらそういう診断される人けっこういるでしょ」そんな感じのことを言う人がいた。別に間違ってない。同意。確かにボクも検査を受けたから障害が発覚しただけで、受けなければそのまま気付かずに働き続けていたはずだ。

でも、そんなことはどうでもよくて。今のボクの状態が仕事に支障が出るレベルで、自分ではどうしようもないっていうのが問題。障害は単なる原因にすぎない。患者数が増えているとかいう事実がわかったところで、ボクにはなんの意味もないんだ。

これからどうしていくかが大事なこと。この会社が好きでまだ働いていたいと思うからこそ、今の自分の状況を正直に伝えさせてもらった。会社と自分の距離感を変えることでまだ自分にもやれることがあり、そのためにがんばりたい、そういう意思表示だ。

まあね、やっぱり本当の意味で理解してもらうのは難しいですよ。でも今のボクはある意味無敵。障害を受け入れる覚悟をしているし、他人から何を言われようともできないものはどうしようもないというあきらめもある。その上で自分にできることを自分のペースでやっていくだけなんだ。

ブレない、というか、ブレようがない。無駄なものをとことん排除して、得意なことに集中する。店長には向いてなかったけど、選択するところさえ間違えなければまだまだやりまくれる自信もある。

34歳にしてスタートラインに立ったと思うと、清々しい気分にさえなっている。本当の私、デビューってやつ。自分のこれからをまったくあきらめてないんで、そこんとこよろしくお願いします。

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