ほどらで社長日記「ないなら作れ」
田舎を中心に活動していると、ないものが結構ある。
10代の頃はないことがすごくイヤだった。テレビでいろんな情報は得られるものの、自分の街にはそれがない。同じ日本なのにどこか架空の話のような感覚。
そういうものを自分の目で確かめたくなって、大学卒業後就職のタイミングで上京した。
東京には今までテレビの世界の話だったものが、現実に当たり前のように存在した。田舎の少年が興味のままに、手当たり次第やってみる、そんな20代を過ごした。
一通りやり尽くした30代。ふと思うようになる。いろいろあるけれど、どれもこれもしっくりこない。本当にほしいものがない。
理由ははっきりしていた。全部他人から与えられたものだったからだ。他人が作った会社で働きながら、他人の作ったエンタメを消費する。それよりも自分自身が生み出している感覚が欲しくなった。
そんな時に、故郷である泉佐野に帰って気がついた。地元を離れて10年近く経つのにほとんど何も変わっていない。単純に住んでいる人が10歳と歳をとっただけ。東京ではオリンピックを控え、毎月街の景色が変化している状態だったので、余計にそう感じてしまったのかもしれない。
昔ならイヤだった泉佐野が、すごく魅力的に見えた瞬間だった。
何もないなら、自分で作ればいい。その方がより自分の理想に近づけるはず。
その時は何ができるか分からなかったが、自分の感覚を信じてみることにした。そして僕は11年の東京生活に別れを告げ、泉佐野に戻り、フリーランスになり、今社長をやっている。
もちろんまだ現在進行形で答えが出たわけではないのだけれど、少なくとも今の生活の方が自分らしいと感じているのは間違いない。理想のものは自分で作り出す。それだけはこれからも変わらない。
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