路地裏ラジオ第一夜
この記事のTwitterスペースラジオは7月3日にライブ配信したものです。
【お品書き】
・本当にあった巫女さんの不思議な話
・文学フリマ東京について
・今後の展望
本当にあった巫女さんの不思議な話
※こちらは掌編小説感覚でお楽しみください。
これは、槙島驟自身が助勤先の神社で体験した出来事です。
最初に断っておきますが、私は視える体質ではありません。そんな私が体験した少し不思議な話です。
神社にはたまに、境内の中にも小さい神社があったりするのをみなさんもご覧になったことがあるかと思います。あれは神社にもお寺の総本山みたいな感じで、「総本宮」と呼ばれるものがあります。〇〇稲荷神社とか、〇〇八幡とか、〇〇神宮とか同じ名前でよく聞いたりとかみなさんもあるのではないでしょうか。
その昔に、総本宮の力をそこまで行かずとも自分の土地でも信仰するために「御勧し」と言って、その神様の力を分けて祀ったことに由来しています。
神社の境内の中に小さな神社があるのは、「摂社」といって、その神社の御祭神、いわゆるその神社で一番に祀ってる神様と関係のある神様を同じ境内の中に祀ったりするんです。大きい神社とかだと、これが結構数あったりします。
では本題に入ります。
その日の奉仕を終えて、神社によっては夜になると閉まるところとか、夜でも入れますよというところとあると思うのですが、私の奉職先の神社は閉めるタイプでした。ですので閉門の時間になると、境内内にいる人にお声がけをするんです。
「〇〇時に閉門ですのでお気をつけください」と。
私の神社も境内に小さな神社、摂社がいくつかあるので、結構しっかり見回りをします。参拝者様がお帰りになれないと大変ですので。
その日はおばさまのご一行がまだ境内にいらして、お声がけし、急かさない距離感でその最後尾についたんです。そうすると他の身周りの職員さんにもこの方々で最後ですよ、とわかるので。
そうやって後ろについていながら、ふらーっともう一回境内見回したんです。そうしたら、稲荷社、稲荷神社の神様を御勧ししたお社の鳥居を誰かが潜って行ったのです。あ、まだ誰かいたんだと思って、おばさまたちの後をつけずにそこで足を止め、待っていました。しかし、その方は一向に出てこないのです。
同じく境内内を見回りしていた職員さんが、大方境内に誰もいないことを確認して私に聞きました。
「槙島さんもう誰もいない?」
「いやそれが、稲荷社にどなたかまだ参拝なさっているようなんです」
ぱっと稲荷社を見た職員さんは困った顔をして
「え? いないよ。んん、賽泥かな」
たまにお社の後ろに隠れて、お賽銭泥棒とかいるようなので、それかなあ
なんて言いながら、お社を二人で一周してみましたが、やはり誰もいませんでした。
ちょうどこの頃、本殿、皆さんがお参りするところのさらに奥の間を工事していましたので、その関係の方じゃないかっとなったのですが、とうにその方々はお帰りになっていました。その後も境内を探したのですが、一向に見つかりません。
「槙島さん、その人ってどんな人だった?」
「どんなって、あ。なんか……真っ黒な、影……みたいな」
今思っても不思議なのですが、職員さんにこう言われるまで全く怖いとか不思議とか思っていませんでした。そんなあやふやなものを見ていたと言うのに。私としては、あの人どこ行ったんだろうって言う感覚だったのです。
見つかりもしないモノだろうと、終礼をするので社務所に帰りました。あれこれ捜索してたわけで少し遅く帰ったのを別の職員に聞かれます。
「遅かったね、どうしたの?」
「それが……」
訳を話すとその場にいた職員さんや、同じ助勤の巫女さんたちは少し青ざめていました。それからは、不思議な話や怖い話で巫女同士で盛り上がり、みんなが共通して怖い場所や、なんかいきたくない場所について語りながら帰路につきました。
その後もずっと同神社に助勤巫女として勤めていますが、一度もその影を見ていません。あれはなんだったのか。今でも本当に不思議なまま、私の中に残っています。
文学フリマ東京について
今年、5月29日に開催された文学フリマ東京にて。霧一文礼堂サークル出展の短編集、ジャンルミステリーホラー「身体」に槙島驟、湿度文学。が短編を寄稿しています。
槙島:オーナーの静霧一さんに、noteの作家オンライン飲み会をした際にお誘いいただいて。今回出展した短編集は3ジャンルあって、その1つであるミステリーホラーを私がリーダーと言いますか、まとめ役をしまして。ジャンルのリーダーは自分以外の執筆者を自分でオファーする形だったんですよ。もう真っ先に湿度文学。さんが浮かんで、まず一番最初にダメもとで声をかけました。
湿度: ダメもとじゃないですよ! 前から気になっていた物書きさんに誘われて、舞い上がってましたよ。「逆に自分でいいんですか?」って。
依頼して頂いた時、5000字〜10000字の短編でって言われて、普段はもっと文字数の少ないショートショートしか書かないからめちゃくちゃ焦りました。でも、槙島さんが「短編を繋ぎ合わせて、1つの作品にしたらどうですか?」って提案してくださったお陰で、2万字になっちゃいました。申し訳ありません。(笑)
短編集では槙島驟は、「天使の腕」と「涙うつし」の二編、湿度文学。は「臓物教。」の一編を手掛けています。それぞれの感想を赤裸々に告白してみました。
槙島:私は湿度さんの擬音がめちゃくちゃ好きですね!
ああ、なんか実際そんな感じな音なんだけど、あそこまでリアルな擬音化って難しいよなあって。それで非現実なあの世界に、急に現実が増すんですよね。
あとは、トチ狂った役者って、大体小説に1人でそれがすごく映えると思うんですが、湿度さんの面白いところっていい意味で、みんながみんな狂ったキャラクターで。でも湿度の街は、もうそれがアイデンティティーというか個性になってて。全然飽きないし、被らないし。すごく個人的に好きなのは、それぞれにまだ人間っぽさのようなものを残しているのがいいなって思いました!
本当に……オファーしてよかったです。
湿度: 槙島さんが書いた「天使の腕」と「涙うつし」、どっちも大好きです。特に「涙うつし」が好みでした。このお話に出てくる涙うつしという都市伝説が実際にありそうで、ぞわってしました。「人形に自分の涙をうつすことで、自分の苦しみや悲しみを持っていってくれる」。なんて素敵で、不気味な都市伝説なんだろう……。
あと、槙島さんの文章って現実的な言葉が散りばめられていて、大好きなんですよ。渋谷、屋上、食堂、アプリ、梅雨……。どんなに非現実的なお話でも、よく知るワードが入っていることで現実味が溢れる。文章って人によって、色とか、感触とか、匂いとかするんですけど、槙島さんは灰色って感じがするんですよね。何だか、現実味が溢れる色。凄いタイプの文章です。
作品は文学フリマで約2時間で売り切れました!(嬉)
その後オンライン販売もしていたのですが、そちらも2022年8月現在売り切れています……!
完売御礼!
より作品読んでいただけたら嬉しいですから、いずれそれぞれのnoteに上がると思いますので、ぜひお楽しみに……。
今後の展望
今後、これから執筆活動をどう行っていこうかと。初回とラジオとあって目標やら何やら掲げてみました。ぜひ温かい目で応援してください!
槙島:エブリスタという小説投稿サイトでもnoteと同じ小説出して活動しているんですが。そこんでお題のある短編のコンテストをよくやっているんですよ。で、今回(6月)のお題は「雨音」で。以前書いた作品で、出せそうな作品があって色々改変して出そうと執筆しているところですね。
あとは現在(放送日)休載している長編連載小説の「ペンが書けなくなるまで」の三章ですね。合間縫って書いています。この作品もう、ストーリーまで決まっているので早く書きたくて気持ちだけ先走っていますね。
最後に槙島さん実は(?)大学三年生なので、絶賛就職活動準備性なんですよ。あとは年末向かっていくと巫女さんのお仕事も忙しくなるので、ちょっと時間のかかるご依頼は受けないもしれないですね。
湿度:7月中と、ちょっとまだ先なんですけど年内に、宣伝があります。お楽しみに。
あと、湿度文学。はnoteに小説を投稿しているのですが、今夜久々にnoteを更新します。このラジオの後、すぐに。そちらも宜しければ是非!
第一夜はTwitterスペースを使ったこともない槙島と湿度文学。で、しかも二人はDMでやり取りがあったものの、こうしてお話しするのは初めてでした。とても緊張しながらでしたが、初回なのに沢山の方々にお聞きいただけて嬉しかったです!
ありがとうございました、またアーカイブ第二夜でお会いしましょう。
筆:槙島驟
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