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Mar del plata 現在と過去の交差点

こんにちは、いとさんです。

こちらに来てから観るようになったアルゼンチンの古いコメディが好きで、殆ど何を言っているのか理解出来ませんけれど、いくつか映画も観ました。Emilio Disiという俳優が出演している“Los bañeros más locos del mundo(1987)”というコメディ映画は、何をやってもダメな4人組が”Los bañeros(ライフガード)”になってハプニングを起こし続けるという内容です。タイトルの翻訳をすれば「世界一クレイジーなライフガード達」というところですね。

この映画はマルデルプラタが舞台です。ビーチを訪れた時には、映画の中で観ていた世界が目の前いっぱいに広がって、ついに来た!と心が躍りましたが、次の瞬間には想像していなかった海からの強風に私のワクワクはすっかり綺麗に吹き飛ばされました。十一月はまだ海水浴ができる気温ではなく、また海風が勢いよく吹き荒ぶので、寒さが一層増しました。右からも左からもドライヤーで冷風を当てられているように髪はあちこちへ舞い、砂も巻きつけてしまって悲惨なことになりました。

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この小さな家がいくつも並んでいるように見える建物は、パラソルよりも優秀な日除けです。大体一畳半くらいの広さがあると思います。利用する為にはレンタル料が必要です。まだシーズン前でしたので利用客は居ませんでしたが、別の砂浜では座ってマテ茶を飲んだり、裸足でサッカーをしている人達を見かけました。縮み上がるほど寒かったのですけれど、水着になって太陽を浴びている人もいて驚きました。

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ビーチの近くには、映画に登場したカジノを併設するホテルがあります。目をキラキラさせて中に入りましたが、劇中のような賑わいはなくて少しがっかりしました。ディーラーがいるテーブルの他に、パチンコ屋を思わせるようなデジタル機械のスロットマシンや、コンピューター化されたルーレットも設置されており、一つの空間に時代の交差する様子を見たような気がしました。

マルデルプラタを別荘地としている人も多いらしく、夏になればこちらで週末を過ごすそうです。別荘と言いましても豪勢な一軒家に限らず、マンションの一室を所有している人もいます。そこを家族で共有したり、友達に貸したりしているようです。私も友人の家族が所有しているマンションに滞在しました。普段は人が住んでいないにも関わらず、室内は埃もなく綺麗に保たれていました。

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まるで映画のセットのようなレトロなキッチンは全て現役で動きます。朝、小さなやかんでお湯が沸くのを待っている間、ルーバー窓から通りを見下ろしたり、出来上がったインスタントコーヒーの匂いを部屋いっぱいに感じながらカウンターに腰掛けていると、70〜80年代のアルゼンチンに居るような気持ちがして、とても気分の良い目覚めでした。

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そう言えば、湯沸かし器がうんともすんとも言わず、お湯が出なかったのでお風呂に入れませんでした。一泊旅行でしたのですんなり諦められましたけれど、長期滞在だったら辛かったでしょうね。日本でしたら銭湯に駆け込みますけれど、地球の裏側にはありませんから皆さんお風呂が壊れたらどうされるのかと思います。

ブエノスアイレス市内にいても、ノスタルジーを感じることがありますが、マルデルプラタでそれをより強く感じた気がしました。時々こういう気持ちになると、どうしてその時代に生きていないのに懐かしいと感じるのか不思議に思います。恐らく私が記憶しているのではなく、今日まで続く命のバトンを私に繋いでくれた人達の記憶が私を物懐かしく感じさせるのかも知れません。

いとさん

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