小説「メジャー・インフラトン」の描き始め(第1部作です。)その3
皆様こんにちは。あおっちです。
お盆休みの方、もうお盆休みが明けた方。
忙しい中、沢山のフォローやスキを頂き、本当にありがとうございます。
あおっち半世紀以上も生きて来きましたが、少年時代には大きな趣味の柱が2本ありました。
ひとつは16歳(高校1年生)から始めたのサーフィン。
そして自動車免許を取ってからの峠のドリフト走行。(札幌→小樽のあさり峠。当時、警察にあえなく検挙され中断しました。アハハ。今は水源ダムの底かな。)
今から40年前以上前に始めた、北海道でのサーフィン。
苫小牧市に居る方と違い、当時札幌の子供には移動の制限がありました。(未成年者には交通移動手段がない。)
父親や親戚の暇な叔父さんに車で良く連れて行ってもらいました。
あおっちの少年時代の初めてのテイクオフ!
思い出すと未だに感動がよみがえります。
(はじめてサーフィンは小樽・銭函海岸での出来事。)
18年前の帯広から関西転勤当時、夏は子どもたち(長男、次男)も小さく、大阪周辺の海水浴場(和歌山の磯ノ浦、淡路島)やサーフィンスポットに良く行きました。
そんなイマドキ関西の夏でした。
「メジャー・インフラトン」のスピンオフシリーズ構成の詳細。
(その①)
①「秘密のお嬢様戦隊・エイモス5」
エイモス-5とは、2037年、椎葉きよしと「対馬戦役」で共に戦った5人の少女たちの物語なのです。少女戦隊シリーズみたいな感じですかね。
※ 椎葉きよしとの出会いの詳細ストーリーは「メジャー・インフラトン」序章の第2部作~第3部作、
「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!撃て!撃て!撃て! )~序章3/7まで、Nolaノベルで公開中。
【ストーリー構成】
2037年椎葉きよしと、AXIS南北朝鮮軍の島嶼侵略作戦、「対馬戦役」中に出会った「私立札幌藤華女子学園」の5人の少女たち。
修学旅行中に対馬に取り残され、彼女たちを保護をした椎葉きよしと敵AXISを破った少女たちのその後のストーリーです。
5人のスペックは、
布村愛子:札幌定山渓ホテルグループのCEOのご令嬢。
少々マト外れだがとび抜けたプロファイリング能力と剣道有段者
で、「エイモス-5」のリーダー。
佐藤結衣:佐藤商事グループ(穀物・武器商社)の5代目社長のご令嬢。
予知能力。1~2秒先の未来予測の特殊能力。
主にスナイパー担当。
寺田麗子:両親ともに学校の先生のお嬢様。しかも両親がサーファー。
とびぬけた記憶力の「mnemonist(ニーモニスト)」能力。
五か国を普通に喋れる。
現在6か国目(ポーランド語)更新中。
中村・スーザン・幸子:両親がマスコミ編集者をするお嬢様。
水中で息継ぎなしでいつまでもいられる特殊能力者。
ニックネームは人魚姫(マーメイド・サッチー)
赤血球の中に魚類と同じく細胞核がある。
鈴木絵里:両親が外国語塾や専門学校を経営するお嬢様。
バイリンガル。中学2年生まで世界各地で生活。
とびぬけた聴覚と視覚能力のソナー・レディー。
以上が「エイモス-5」の構成です。
この5人の少女の戦隊戦記と考えています。
銀河帝国「ウシハクル」の悪の組織「ウシハクル党・ゴンロッソ伯爵」と地球を守るために戦うのです。
出来れば、縦漫画かなぁって。
第1部作テキスト、「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)
■ 第1章 第1発見者。
西暦2062年 6月20日 ハワイ時間 21時00分。
ハワイ・マウナケア展望台群(すばる)第4・月面共同観測所。
太平洋の深い闇に浮かぶ、白銀の月。
その光は、波間に揺れる真珠のように、海を飾った。
宙(そら)、一面に広がる天の川(ミルキーウェイ)。
雲の上を突き抜けて、天の川と星が降り注ぐハワイ島マウナケア山頂。
その山頂には数々の国の天文台が設置されていた。
その中で稼働して2年目、まだ新しい共同の研究観測施設が一番端にあった。
日本の国立天文台(すばる)第4・月面共同観測所である。
同じく2年前、PKSF国連平和維持宇宙軍が新月面基地(別名:陽の当たる基地)を建設したと同時に出来た観測所だった。
観測所では昼から出勤していたシフト早番の科学者と、シフト遅番で夜勤の科学者達が、引継ぎのミーティングを終わらせようとしていた。
月面(月表、月裏)の最新のレーダー測定器による振動観測や、各種月面環境のデータの引継ぎを終わらせた所だった。
ガラス張りの会議室。
楕円の大きなテーブルが中央に置かれた会議室だった。
観測データなどの引継ぎも終わり、早番の科学者男女2人が立ち上がった。
遅番の2人と握手している。
早番の男女2人。
初老の痩せた白人男性と、アジア人のまだ若い女性が、帰り支度を始めていた。
会議室奥の大型モニターの前。
椅子に座ったまま、金髪白人でオカッパ・ヘアーの男。
太り気味の中年男が足を組み、突き出た腹に手を乗せながらニコニコしていた。
クルッと、奥行きの深いソファー椅子を1回転した。
そして早番の若い女性科学者に、軽く手を挙げて声を掛けた。
「ヘイ!キヨミッ!今度は一緒に夜勤、楽しもうぜ!叔父さんといたら、日本の事なんて忘れさせてやるぜ!同じ日に配属された、俺達ゃいわゆる同級生だぜ!ベイビー!」
その横で、テーブルに置いたパソコンの上からジロリと睨む、遅番の女性科学者が居た。
年の頃は30代後半だろうか。
仕事モードの薄化粧で、端正な美人だった。
そのアジア人の女性科学者は、真顔でクルッと振り向き目を閉じて、手の平で激しく振って断った。
声を出すまでも無く、よほどこの男が嫌いらしい。
「ハハハッ。」
太っちょオカッパ金髪の中年ヲタク博士の横では、美人科学者がズッと睨んでいる。
そんなキツイ視線を感じたのか、気持ち悪い笑顔のまま、チラッ横目でみてから、ジワーっと真顔になる中年ヲタ。
その変化した真顔も気持ち悪い。
全くお構いなしに、気持ち悪い中年ヲタを睨み続ける美人科学者。
中年ヲタは視線が怖くなり、ごまかして書類の整理をしながら下を見てつぶやいた。
「冗談だよ、冗談……。フッ。」
その金髪オカッパの頭を掻きながらボヤいた。
横に座る女性科学者を再びチラッと見る。
やはり、睨んだままだった。
そんな2人を眺めてから一言、挨拶する若い女性科学者。
「それではお先に。フンッ。」
背筋がスッと伸びてスタイルの良い日本人女性は、挨拶してから無言でファイルを胸に抑えてツカツカと先に会議室を出た。
「あっ、お疲れ様。」
「きよみ、お疲れ。」
先に帰る女性へ、手を上げて返事をしたまま、後ろ姿を見るオッサン・ヲタ達。
その日本女性は和歌山大学研究員の且来清美博士だった。
その美人博士が会議室のガラス壁の脇を歩いて行く。
一度、足を止め会議室の中を見て睨んだ。
「フンッ。失礼な。」
そっぽを向いて、ガラス越しに早々と歩いて行く。
目で、且来(あっそ)博士を追いかける苦笑いの2人の宇宙物理学博士達。そして、そのオッサン・ヲタ博士2人を睨む女性科学者。
「つれないなー。」
と、太っちょ金髪おかっぱヲタ博士がぼやく。
睨んだ美人博士が立ち上がった。
「何が、つれないなー。よ!セクハラで訴えられるわよ!バカじゃないの。聞いてる!2人とも。いいっ!私は、バカのとばっちり食らいたくない!シフト・チームで仕事をしないといけないのに。」
面白くない目で、お互いを見るオッサン・ヲタ達。
丸めたノートを手で持って2人を腕全体で指しながら説教をするそのアラフォー美人は、スージー・マッカラン・ハワイ大学宇宙物理学博士、兼臨時講師だった。
「2人とも、聞いてる?私は職、失いたくない!いい加減毎回、毎回、清美をからかうのをやめなさいよ!次やったら、大学かNASAの本部に報告するわ!2人とも理解した?それとも麓オフィスの吉田副研究所長に報告する?日本人の方が厳しいわよ!解ってるの。ホント、いい年して。」
再び、目を見合わすオッサン・ヲタ達。
( へーい。 )
つれない返事をするオッサン2人。
手を開いてジェスチャーをしてから帰ろうとする早番の博士に、頭を掻きながら声を掛ける太っちょ博士。
「ヘイ!ジョン。サムエルッ博士!来月の7月か?本土(アメリカ)でワシントンの会議、終わったら飲みに行こうぜ!」
「はははっ。了解、アーネスト!DCにいかした俺達、ヘ・ン・タ・イ・ヲ・タ・ク。ご用達の酒場あるから行こうぜ!」
「頼むな!ジョン!ヲタク・コスプレー、ギリギリ露出のセクシーな店紹介してくれ!頼むわ。」
「それは、行ってからのお楽しみで!」
「了解!」
ドアの角で腰を振りながら腰を振り、ポールダンサーのマネをする初老の科学者、痩せた白人博士。
「任せなって!ヲタ歴、半世紀超えの俺に任せろ。じゃアーネスト、7月約束だぞ。さぁて、今日は待機所で横になってアニメ見ながら一杯引っ掛けるわ。部屋も予約してるし。今日から3連勤で家に帰るのメンドーだからなぁ、あははっ。あ?ビール切れてるなぁ。たしか切れてる。」
「ジョン、下の観光センターの自販に新しいビール入ってるぞ。あれイケる。日本のビール最高。缶も丈夫で気圧差関係ないし。部屋に持って来て、そのまま直ぐ飲める。」
「おー!そうか。直ぐいけるの?よし。センター寄ってからシケるわ。じゃな。」
腕を振りながら帰る痩せた白人博士と、それに手を振る太っちょ博士。
男2人を腐ったゴミでも見るように、スージーが怪訝な顔をしてパソコンのモニターを閉じた。
( パシン。 )
「気持ち悪い話しないヘイ!ジョン!ねー?気持ち悪いから腰振らないで!ここは職場よ!」
両手を広げて、バカにするような態度をする痩せた白人博士。
怒りに任せて、次に太っちょ博士に噛みつくスージー。
「そして、あなた!聞いてる?アーネスト!ねっ?聞いてる?フランクリン博士!」
片づけるフリをする金髪太っちょ。
手を広げて慌てた。
「何、何っ!今度は俺?聞いてるよ!聞いてる。」
「これから仕事するのよ!ついでに言うけど、仕事中、私語は謹んで!解る?特に私に、意味不明のヲタク話は止めて。出来る?」
女を無視して太っちょ博士に挨拶をする痩せた白人博士。
「じゃーなぁ、アーネスト。また明日ー。(キィー、バタン。)」
会議室の戸を閉めて、首を振りながら歩く白人博士。
きつい女の発言に呆れて会議室の横を歩いて行くのは、ジョン・T・サムエル、ワシントン州立大学宇宙物理学・衛星環境学博士兼研究員。
ガラス越しに手を振り帰って行く。
それに手を挙げて、ニッコリ応える太っちょアーネスト。
こちらはこちらで、いつもの男2人の話とはいえ、呆れ顔のスージー博士。
そのスージーが手を止めて、再びジロッと睨んだ。
睨むスージーに目を合わせないでぼやいた。
「はい、はい。解ってるって。もう、ひと言、言うと毎日これだ。俺はバズキル(邪魔者)か。」
パソコンを締めて立ち上る太っちょ博士。
このハワイ・マウナケア展望台群(すばる)第4・月面共同観測所は、PKSF国連平和維持宇宙軍と、日本の防衛庁とNASAが出資し、そしてハワイ大学と日本の和歌山大学が共同に運営している月面データを観測している高台の施設であった。
(すばる)の名を頂くように、日本の国立天文台の敷地の観測所でもある。
その星が降るハワイの高台でNASAの登録職員でハワイ大学臨時講師でもある主幹研究員、スージー・マッカラン宇宙物理学博士と、オタク歴の長いNASAからの派遣研究員(本職は惑星間宙域空間物理学)のアーネスト・フランクリン博士の2人がこれから夜勤の観測任務に就くのだ。
惑星間宙域観測が専門のアーネストにとって、全く専門外の地球の衛星、月面監視の任務だった。
遅番の男女2人の博士は引継ぎミーティングも終わり、片手にマグカップを持ったまま、お互いの薄暗いモニターだらけのオペレーションルームで、沈む様に自分の席に着いた。
2人は自席のモニター電源を入れ、チェックを始める。
( あははっ! )
笑いながらスージーが中央のオペレーション席から身を乗り出して話しかけた。
「ねー、アニー!アニー!アーネスト。」
イヤな予感をしながらヲタ博士が顔を横に振りながら仕事の準備をする。
「何だい、スージー・マッカラン大先生。むふふっ。僕は忙しんだけどぉ。私語はダメなんでしょ。」
太っちょヲタク博士も定期点検の為、点検票の順番にコマンドをタイピングしてデータを記入している。
「あなた、ハワイに来てもう1週間以上経つわね。太陽が降り注ぐ健康的な場所に行った?たとえば、」
「フンッ。」
コーヒーを飲みながら鼻で笑う太っちょ博士のアーネスト。
「何、フンッって。全くヲタは。ハワイに来たんだからね!」
中指を立てて怪訝そうな顔で椅子に座り、インカムを頭に装着するスージー。
タイピングしながら、答えるヲタ。
「フンッ。俺達ヲタクは「2次元」か「3次元」の人造のデジタル空間と3D立体コスプレ環境が俺の現実。ハワイの大自然なんざ、俺は興味ないし。」
スマハンドを押し、手首に浮き上がる猫コスプレヤーの立体映像が浮き上がる。
それを見てニヤけながら、機嫌よくタイピングするヲタク博士。
すると、何かを思い出す様に、グルッと後ろの席のスージーのコンソールに向かって椅子を回して、両手を広げた。
「ハワイの大自然こそ、俺にとっては仮想現実だぁ!ムフフッ」
イヤらしい笑いをするオタク研究員。
わざわざマグカップ越しに、ワザとイヤらしい目をして女性博士を見た。
「うわー気持ち悪い。No,no,no!こっち見ないで。お願いだから。キモイ目をやめて!気持ち悪い。はははっ!」
笑いながら定期点検のコマンドを忙しく入力し始めるスージー。
退屈な職場では、こんなやり取りも、職員の気晴らしなのかも知れなかった。
ニヤッとしてからマグカップを置いて、インカムを着け直して更にタイピング始める太っちょ博士。
気持ち悪い笑顔のまま画面を操作しながら語り始める。
「先週。スー!先週な!(なによ、アーネスト。)NASAのワシントン本部、地下4階の惑星間宙域の監視オペレーションルーム。(それが、何っ?)俺の元職場だ。(だから、何っ。)いいから、聞いてくれ。(解ったわよ。聞くだけタダだし。長い話は嫌よ。)あー、太陽系の惑星空間の監視中、火星と木星の間の宙域で異常な磁気変動と、ダークマターと思われる正体不明の物質の膨大な増加を感知。すぐに上司へ報告。(ふーん、やっと話す気になったの。それで?)まぁいいから聞いてくれ。(わかったわ。短めに。)あー。それでな。その上司は理解できないおバカ。(フフッ。どこにも、おバカな上司はいるわ。あなたの居たエリート集団でもね。)そうさ、その鈍くさい上司をしり目に、俺は独自の判断で火星軌道上の観測衛星「エミリーⅡ」とPKSF軍の木星衛星軌道上の有人補給基地の宙域用磁気・ミリ波レーダーで地点観測、それもピンポイント観測を同時刻に開始した。(ぷっ!あなたこそ馬鹿じゃない。捕まるでしょうに。)いいから、スー。で、その直後。アメリカ宙軍のAIティアマト、最上級の太陽系宙域監視システムのティアマトが大規模な宙域空間の異常を認識。オペレータルームに第1級非常警戒サイレンが鳴り響いたのさ。ふふふっ。」
真顔になり、一口マグカップに口を付けてから、腕組みをして立ち上がるスージー・マッカラン。
「即座にアメリカ大統領と宙軍に連絡。第1級非常警戒態勢となった。はははっ!(あなたが第1発見者。リアルタイム処置でティアマトが認識したのね。)そうさ!俺が見つけて、ティアマトが慌てて警報したのさ。全アメリカ軍とNATO同盟軍が臨戦態勢になった。宇宙軍の仕事を、俺がしたんだ。発見してたったの1分でなっ!鈍くさい上司は事態が解らず、俺の胸倉をつかんで(お前何をしたんだーっ!)だってさ。ホント、アホだあいつは。はははっ。その後、アホが第1発見者になって手柄上げたみたいだがな。はははっ。」
立ち上がったまま、微動だにしないスージー。
「今日も輝く世界中で大騒ぎなぁ、あの彗星の元が出現。いや、既に出現していた。出現当初は彗星の巨大な本体のみ。停止していた。俺の胸倉を掴む、うるさいアホな上司、そう、臭いハエをなぎ倒して俺は調査を進めた。」
スージーはインカムを机に置き、マグカップのコーヒーをまた一口飲み、また腕組みをして立ち上がり、真面目に話を聞き始めた。
「アーネスト。それで?」
「大きさは水星のそれと同じ。しかし、なんと!なんと推定質量は地球の1万倍。1万倍だぜ!そして驚くべきことに、出現と同時に加速したのさ。その加速と同時に艦隊と思われる800メートルから2000メートルの物体を、約2万個放出!信じられるか?ベイビー。その後、ヘリウム90%とその他正体不明の遮蔽ガスを放出。発見したのはこの俺様。初動調査も~この俺様だ!その最初に発見、報告した俺が……。ワシントンの本部から飛ばされるなんて!(あんた、嫌われてるね。あはは!)うるさいっ!エミリーⅡや木星衛星基地のレーダーを無許可で動かした!とか、何とかで……。これはヲタクへの差別だ。(差別じゃなく、嫌がられてるだけさ。キモイし。あはははっ。)ちくしょうっ!空気のきれいな星降るハワイのマウナケアに来て……。この観測所の駐車場で車のドアを開けると、肉眼でもはっきり見える、あの人工彗星。手に届くほど近くにあるのに。全く関係ない月面観測で箱詰めだなんて。なんてこった!NASAの本部は俺を生殺しにする気か!俺の無念な気持ち解るか!(ふふっ。)笑うな!毎日仕事終わりに、飽きずに5キロもジョギングする、この!おせっかいな健康ヲタクめ!」
興奮して息を荒げて後ろを振り向くオタク研究員。
スージーは両手を開いて、呆れてからすぐインカムを着けて座り直した。
息を弾ませたままの太っちょ博士。
そんなヲタの目の前から笑い声と共に、中央のオペレーション中央席のモニターの上から中指を上げた手が出てきた。
スージーは笑いながら立ち上がった。
「あははっ。あはは!ここでは彗星なんてまったく無関係。閉職よ。わかるアニー!閉職、左遷、厄介者ばらいされたのよ、あなたは。」
頭を塞ぎ込むオタク研究員。
今までの迷惑行為を晴らすかの用に、更に太っちょ博士をもてあそぶスージー。
「所属するNASAの職員にも関わらず、すぐ近くにあるNASA赤外線望遠鏡施設にも入れてもらえず、ふふふっ。あの彗星観測で、今、赤外線施設は本部のおエライさん達が来て、活気があるわよ~。(止めてくれー!)はははっ。そのうるさいハエ、アホも来てるんじゃないの~アーネスト!あはははっ!第一発見者のあなたが、わざわざ日本の天文台に飛ばされて。あはは!」
身体は横を向いたまま、気持ち悪い微妙な笑顔でジロッと、笑顔のスージーをアゴを引いて、にらむ太っちょ博士。
オカッパ・ヘアーの額からは、薄っすらと汗がにじみ出始めた。
「ふふっ。先週、麓のオフィスであなたと清美を吉田副所長から紹介された時は、シュッとしている清美と対照的に、汚いズブ濡れの汚い迷子の犬みたいで!惨めね~!あははっ。ほーんと笑える。(うー!だから、止めてくれー!)クッ、クッ、クッ。あはははっ!ここは地味な観測所。月の表面と地下の変動や振動の監視だけ。それも眠気と戦う退屈な監視所。シングルマザーの私には生活費の稼ぎ場。娘の学費稼ぎ。そして、データは和歌山に送って、ハイッ終了!あはははっ!突然現れた人工物。それも地球の半分、水星位の大きさの人工物。そんな小さいのに推定質量は地球の1万倍って完全に恒星、ちっちゃな超ヘビーな太陽じゃないの!そして太陽を囲んだ無数のヘキサゴン(六角形)とペンタゴン(五角形)の構造物。世間では文明度ステージⅡクラスの異星人のダイソン球体(高高度文明の恒星エネルギーを利用する宇宙コロニー)と大騒ぎ。そしてなんと!出現と同時に急加速。明らかに知的生命体が乗ってるわね~アニー!それも日本のアニメのような巨大な宇宙戦艦を2万隻も放出して!それが、有ろうことか火星軌道を横切り地球へ、一直線!な~んて。調べたいよね~アニー!追跡したいわねーアニー!アーネスト・フランクリン博士。あはははっ。残念~っ!」
指を指して大笑いするスージー。
( ドンッ! )
と、机に頭を突き、崩れるオタク研究員だった。
太っちょ金髪ヲタが伏せた机のモニター。
月裏に並べた振動センサーを表した規則的な点(マーク)が並んでいる。
そのモニター画像の点が、ひとつ、ひとつ、静かに消え始めた。
気が付かないアニーとスージーの観測員の2人だった。
続く。
今、あおっちは遅いお盆休みの真っ最中。
さすがにお天道様の陽ざしは殺人級ですね。
それでは、チロチロッっと次もアップしますねー。
お読み下さって、ありがとうございます。
あおっち