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【ヌースフィヨルド】アクション考察

中量級の傑作(はじめに)

 「ヌースフィヨルド」は、2017年に発売されたウヴェ・ローゼンベルク作のボードゲームです。2024年夏に新たな拡張も含めたBIGBOX日本語版が発売されました。
 内容としては、北欧のロフォーテン諸島ヌースフィヨルドにある漁業会社のオーナーとして、港や森林を開発していきます。各ラウンド3手番×7ラウンド=21手番のワーカープレイスメントで90分前後しかかかりませんが、重量級並みに悩ましく、抜群におもしろいです。

アクション考察

 各アクションを評価するにあたり、1資源あたり何点とするかが重要ですが、評価が一筋縄でいきません。
 1金は、1点で不変なので明確です。
 1魚は、「魚の給仕」のシステム上価値が変動し、0.375〜0.5点あたりとなります。
 1木ですが、スクーナー船(8木8魚4点)を考慮すると、木は魚ともに0.25点以上はありそうです。また、BIGBOXで追加されたベセーケンデデッキでは、ゲスト駒を消費して2木=3魚の代用ができることを踏まえると、やはり1木は0.5点と見るべきな気がします。
 ひとまず、1金=1点、1魚=0.3点(3魚=1点)、1木=0.5点(2木=1点)と考えることとしました。

+1金

・基本やるべきでないアクション
・1手1点行動

貯蓄取り崩し

・貯蓄スペースには最大8魚までしか保管できないので、次ラウンドあふれるor今すぐ魚が必要ならば、やむを得ず取り崩しを行う
・仮に8魚を取り崩し、魚の給仕により8魚→3金とした場合、2手3点行動
・つまり、貯蓄スペースの魚は、1魚あたり、3点/8魚/2手=0.1875点
・個人ストックの魚に比べ、貯蓄スペース由来の魚は、価値が半減していると見るべき

魚の給仕

・魚を金に変換する破格のアクション
・6〜8魚で3金、9魚で4金のケースが多い
・1手3〜4点行動 (1魚あたり0.375〜0.44〜0.5点)
・長老を取らせないために、誰も魚の給仕をしない展開もあり、それを見越して、魚を集めておくのも手

建物の建設

・ゲームを有利に働かせるため、強い建物を早く建てて、その効果を可能な限り大きく享受したい
・基本的に効果や方向性を重ねることで、効率的に点数を伸ばしやすい
・仮に2点の建物を-1点の空の建物スペースに建設するだけで、3点行動にはなるが、コストが見合っているかは良く考えるべき
・資源をうまく建物コストとして得点化していかないと最後に余った木や魚を得点にならず抱え死ぬだけなので注意したい
・経験者同士だと建物の即時効果が条件を満たさず発動しなくても、建物点を稼ぐためだけに建設することもあるので注意

株券の発行

・-1点の未発行株を裏返して、共通スペースにおき、2金を得ているので、実質1手3点行動
・1手3点行動を超えられないなら、これをやるだけで強い(ただし、3回まで)
・序盤の株式の発行は、各プレイヤーの所持金、次のラウンドのスタートプレイヤーは誰かの2つをしっかりと確認し、自社株を自分で回収できるのか最大の注意を払う(経験者と初心者で一番差がでるところなので注意)

全株券の購入

・他プレイヤーが金を持っていないことを見計らいながら、序盤に株券を発行し、自社株を回収できると展開として相当強い
・仮にラウンド3までに自社株3枚を発行し、ラウンド4で1金安く自社株3枚を購入したならば、ラウンド5〜7にかけて毎ラウンド+3魚となる(+2魚の漁獲量アップのため、伐採→造船(スループ船)の2手も考慮)
・その場合、6手4金4点(株3点・船1点)3木9魚≒6手12.5点=1手2.08点行動となる
・さらに、前倒しして、ラウンド2までに自社株3枚を発行し、自社株3枚を全部購入の4手、+2魚の漁獲量アップのため、伐採→造船(スループ船)の2手とすると、ラウンド3〜7にかけて毎ラウンド+3魚となる
・その場合、6手3金4点(株3点・船1点)3木15魚≒6手13.5点=1手2.25点行動となる
・2パターンを比較して分かるとおり、確かに最短で自社株3枚を回収するのは最善手の一つかも知れないが、強い建物や長老を諦めてまでやるかは、見極めが必要
・序盤に自社株を他プレイヤーに譲ることは基本避けないといけないが、獲得した2金を使って早期に建設したい建物があるなら、やむを得ないことも

伐採

・森林タイルを1枚除却し、1手5木
・森林タイル4枚スタートなので、植林をしないならば、伐採4手20木-6点
・1手2.5点行動だが、残り1枚の森林タイルを取り除くと、-1点の空の建物スペースを2つがあらわれてしまい、1手0.5点行動にもなりうる
・最後に伐採して、獲得した木で建設→得点化できないと、ただの1手-2点行動にもなりかねないので、そこはプレイヤーの腕の見せ所
・やはり盤面を建物で埋め尽くすのは困難なので、伐採ばかりには頼れないが、植林を挟んで伐採するのは明らかに手効率が悪いので、できれば避けたいところ
・そう考えると、何かしら木が得られる建物効果は評価が高い

間伐

・森林タイルの枚数分の木を得る
・最初1手4木、1手2点行動
・森林タイル4枚スタートなので、先に1回植林してから間伐すると、1手6木
・その後建物を建設するために、伐採をするのであれば、植林の意味合いが薄れてしまうので、植林間伐スタイルなのか、伐採スタイルなのか路線を見極めたい

植林

・空きスペースに森林タイルを2枚重ねておく
・-1点の空の建物スペースを2つ消すので、1手2点行動
・その後の間伐を+2木追加する効果があるとも考えられる

造船

・スループ船(2木2魚・1点・漁獲量+2マス)
・カッター船(6木1金・2点・漁獲量+3マス)
・スクーナー船(8木8魚or4金・4点・漁獲量+4マス)
・仮にラウンド1でスループ船を造船すると漁獲量3→5、ラウンド2〜7にかけて毎ラウンド+2魚、計12魚
・その場合、2手1点(船1点)3木12魚≒2手6.5点=1手3.25点行動となるが、魚が個人ストックではなく貯蓄スペースに魚が入ると得点効率が半減してしまうので注意
・つまり、造船するのであれば、自社株の回収もセットで考えないと基本弱い
・序盤の造船には安定感があり、逆に対人戦で船点なしや終盤での初造船で勝ったパターンはあまり見ない
・造船に特化することで加点される建物があるデッキならば積極的に狙いたい
・ラスト余った木や魚は基本点数にならないので、造船コストとして得点化する方法がある

長老の獲得

・自分専用のアクションスペースを担保する
・3魚集まると1魚だけおこぼれがもらえるので、魚収入基盤に多少寄与はしているが、発行した自社株を取り戻した方が確実に強い
・ラスト木や魚を点数化するために確保しておくと安心だが、それで勝てるかは別問題
・後手番はそもそも長老が取れないことが多い
・長老を集めることで加点される建物があるデッキならば積極的に狙いたい

長老の使用

・長老の獲得後、長老を使用するためには、給仕された皿に魚が残っていないと発動できない
・長老を獲得しても、毎ラウンド発動する感じではないので、長老への過度な期待は厳禁
・個人ストックに大量の魚を持っている他のプレイヤーがいる状況で安易に長老を使用することにより、次に魚の給仕をされてしまうことがあるので、注意を払うこと

長老ランク

 S:船乗り(5)造林家(9)
 A:造池家(3)管理人(8)エンジニア(11)
 B:設計士(2)港の親方(6)建築士(7)森の住人(10)養殖家(12)
 C:建設業(1)森林管理者(4)
(※4人用までの長老たちを独断と偏見で評価)

長老解説(S~Aのみ)

・船乗り(5番) :S

船乗り

 壊れ。発動時に皿の魚を1匹削って、魚の給仕で金をもらい、木がついてくる。書いてあることがひたすら強くてやばい。圧倒的長老。この長老が要因で負けると悔しいので、取れるチャンスがないか常に狙いたい。

・造林家(9番) :S

造林家

 初手級。伐採ルートか植林間伐ルートの選択を引き延ばして、とりあえず間伐5木。植林しても1木ついてくる。長老を活かすならば、植林間伐コンボしたい。間伐に1人しか入れない点を気にしなくて良くなる。

・造池家(3番) :A

造池家

 建物の建設を優先し、造船が追いつかなかったときの救済策。手番中、魚が足りないときに発動できるので、汎用性高め。とは言え、自社株が他プレイヤーに取られた状況で連発するとアシストになってしまうので、その状況下では発動を控えた方がよい。

・管理人(8番) :A

管理人

 伐採せずとも木が出ることは良いこと。貯蓄取り崩し自体は強くないのだが、コンボができると荒ぶることがある。貯蓄取り崩しに1人しか入れない点を気にしなくて良くなる。

・エンジニア(11番):A

 造船時に1木でもコストカットするのは、えらい。カッター船の6木獲得に2手かかりそうなところを1手5木から造船できるのは純粋に1手得してる。終盤、建物の建設が混んでいても安心。

最後に

 今回、ヌースフィヨルドでの各アクションについて、何点行動であるかを分析し、考察を述べていきました。
 序盤の動きとしては、
 ①強い長老の獲得
 ②強い建物の建設
 ③自社株の発行回収+造船(魚収入基盤構築)
 手番の兼ね合いを見ながら、これら3つのいずれかをやっていくことになろうかと思います。
 また、植林から入るプレイヤーは建物をあまり建設しない方針、伐採から入るプレイヤーは多くの建物で盤面を埋めたい方針というのが読み取れます。
 魚の給仕は破格なので、個人ストックに魚を6匹以上貯めこんで置き、隙あらば狙っていくのも大事です。
 また、プレイを重ねていく中で、随時気づいたことがあれば、追記していこうと思います。
 次は、各デッキごとに強い建物効果を紹介できればと考えています。
 では、みなさまもよきヌースフィヨルドライフを!

【参考】
https://lookout-spiele.de/en/games/nusfjordbigbox.html

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