4)_一期一会 22年度
一期一会とは、去る12月に田中泯の口から聞いた言葉である。
その語が不思議と耳に残ったのは、四字熟語の本に熱中していた
少年期以来だったかもしれない。
場踊りを主とする田中が久しぶりに行う"劇場"公演(「外は、良寛」)を
幸運に観ることができ、そこで更に思いがけず、舞台挨拶が行われた。
そのシンプルな言葉を、半ばはにかむように控えめに語る佇まいに
深く感じ入るところがあり、今でもその情景をしみじみ反芻している。
この一年は、私個人のとって一期一会が重なった。
ちょうど一年前は、田中泯のドキュメンタリー的な映画(「名付けようのない踊り」)を
下高井戸で鑑賞したところでもあった。
・大駱駝艦 50周年公演
・リプシンカ 再演
・森山直太朗 20周年ツアー
・Vaundy 武道館ライブ
・田中泯 劇場公演
・談話室ドリアン 20回記念ツイキャス ←ついさっき
他にも数え上げればきりがないが、
タイミングの良さ(と、くじ運)に随分と恵まれた。
学生の頃などは、趣味といっても「かじる」程度のものがほとんどで、
共通の趣味について生き生きと語り、議論し合う人たちのことが羨ましかった。
美術を趣味=仕事であると早々に見定めて(というか、思い込んで)しまい、
関心をひたすら美術に傾けていたので、
本業以外のところで語れるものがないという、屈折した感覚の裏返しである。
それが不図したきっかけで、あるいは当に直感としか言いようのないところで
いくつかの分野や事柄に断片的な関心が徐々に生まれ、
それらが意識の内と外を往来しながら細々と持続していったところに、
幾つもの大きな出会いが重なったのがこの一年のことだったのだと思う。
そういう意味では、「かじる」程度も悪くはない。
「雨垂れ石を穿つ」。