3)_カテゴライズされないこと

「ドリアン&ヴァギーのちょっとよってらっしゃいよ vol. 2」をツイキャス配信で見た。
ドラァグ・クイーン2人のパフォーマンス/トークショーで、
現地には行けないけれど配信だけでもと思い、当日チケットを購入して視聴。
「ゆるく」やるのがコンセプトという話だったが、むしろ密度がすごくてとても満足した。

ベビー・ヴァギーさんは、Eテレの「バリバラ」で馴染みがあった。
「障害者のための情報バラエティ」を標榜していた「バリバラ」が、
気づいたら「みんなのためのバリアフリー・バラエティ」となっていた頃に知り、
MCでもロケでもナレーションでも、キャラクターが実に番組に合っていると思った。

ドリアン・ロロブリジーダさんのことを知ったのは、ごく最近である。
去る夏に、博品館劇場で「リプシンカ」の再演を観た。
ドリアンさん演じるレディ・スプラッシュの、舞台正面に華々しく登場した時の
鮮烈な印象(登場シーンから桁外れだった)が今も頭に残っている。
(この時は、レディ・スプラッシュが劇中の役名だということすら知らなかった)

さて、トークショーはテーマに溢れていて、面白かったことは幾らでもあるのだが、とりわけ印象に残ったのは
「ドラァグ・クイーンは、こうあるべき」というように決められたくない。
という話だった。

ごくシンプルなことだが、この「こうあるべき」はどのような場面にも生じる。
当たり前のようでいて、それでもハッとするところがあったのは、
どこかで自分も「こうあるべき」を無意識に誰かへ押し付けているからだ。

一方で、「既成概念にとらわれない」という言い回しも、それ自体もはやありふれていて
(そもそも、"既成概念"が何を指しているのかがよく分からない)
むしろ「既成概念」という概念をあえて使わずとも
「既成概念」にとらわれない創作や発信を日々続ける人は少なくないだろう。

いずれにせよ、「とらわれない」という設定を与えられる以前に、
「こうあるべき」という勝手な願望は初めから準備することがないようにしたい。

トークについては、ついでにもう一つ、
「努力を続けるにはどうすればいいのか」という質問に対し、
「私たちは好きなことをやっているから、努力はしていない」
とスパッと言う姿はとても清々しかった。




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