💎総称演算子とデータ指向異なる二つの計算表現　セレクタとコンストラクタ汎用的な関数と演算　多重ディスパッチ　強制（コエーション：Coercion）　ADT代数的なデータ型

2022年8月14日 08:11

総称演算子（generic operator）とは、異なる型のデータに対して同じ名前の演算を適用できるようにする機構のことを指します。具体的には、演算の実装をデータ型ではなく、演算名に対応付けることで、異なる型のデータに対して同じ演算子を使えるようにします。これにより、プログラムの抽象化レベルを高めることができます。

たとえば、"+" 演算子が総称演算子である場合、整数の加算、浮動小数点数の加算、複数のリストの結合など、異なる型のデータに対して同じ "+" 演算子を使用することができます。総称演算子は、プログラムをより柔軟にし、異なるデータ型間での操作を簡単にするために使われます。

SICPでは、このような概念を導入し、抽象データ型やデータ駆動プログラミングの概念を学ぶための基礎としています。総称演算子を利用することで、より抽象的かつ再利用可能なコードを書くことができ、プログラミングの柔軟性と表現力を高めることができます。

文字の連結に+記号を使う言語がありますよね？

はい、その通りです。文字列の連結に"+"記号を使用するプログラミング言語がいくつかあります。このような言語では、"+"演算子を使用して文字列同士を簡単に結合できます。これは、"+"演算子が総称演算子として機能し、数値の加算だけでなく文字列の連結にも使われる場合の一例です。

SICPでの総称演算子generic operations

プログラムの部分によって表現が異なる可能性のあるデータを扱う問題を取り上げる。このため、さまざまな種類のデータを扱う汎用的な演算を実装する必要がある。汎用的な操作の存在下でモジュール性を維持するためには、単純なデータ抽象化だけでは建てられない、より強力な抽象化バリアが必要である。特に、個々のデータ表現を分離して設計し、それを加法的に（すなわち、変更せずに）組み合わせることを可能にする技術として、データ指向プログラミングを紹介する。
Next we will take up the problem of working with data that may be represented differently by different parts of a program. This leads to the need to implement generic operations, which must handle many different types of data. Maintaining modularity in the presence of generic operations requires more powerful abstraction barriers than can be erected with simple data abstraction alone. In particular, we introduce data-directed programming as a technique that allows individual data representations to be designed in isolation and then combined additively (i.e., without modification)次に、

https://sourceacademy.org/sicpjs/2

複素数のようなデータ表現を考えてみる

データオブジェクトには有用な表現が複数存在する可能性があり、複数の表現を扱えるようなシステムを設計したい場合がある。例えば、複素数には、実部と虚部を表す直方体と、大きさと角度を表す極座標の2つの表現がある。直方体の方が適切な場合もあるし、極座標の方が適切な場合もある。実際、複素数を両方の方法で表現し、複素数を操作する関数がどちらの表現でも動作するようなシステムを想像するのは至極もっともなことである。

https://sourceacademy.org/sicpjs/2.4

表現と利用を分離するデータ抽象化バリアに加え、異なる設計選択を互いに分離し、異なる選択を1つのプログラム中に共存させる抽象化バリアが必要となる。さらに、大規模なプログラムは、分離して設計された既存のモジュールを組み合わせて作られることが多いため、プログラマがモジュールを追加的に、つまり再設計や再実装をせずに大規模なシステムに組み込むことを可能にする規約が必要である。

本節では，プログラム中のさまざまな部分で異なる表現方法をとるデータに対処する方法を学びます．そのためには、複数の方法で表現されたデータを操作できる汎用的な関数を作成する必要がある。汎用関数を構築するための主な手法は、型タグを持つデータオブジェクト、つまり、どのように処理されるべきかについての明示的な情報を含むデータオブジェクトの観点から作業することである。また、汎用的な演算(generic operations)を持つシステムを加法的に組み立てるための強力で便利な実装戦略である、データ指向プログラミングについても説明する。
まず、単純な複素数の例から始める。型タグとデータ指向のスタイルにより、抽象的な「複素数」データオブジェクトの概念を維持したまま、複素数の矩形表現と極性表現を別々に設計することができることを確認する。複素数の演算関数（add_complex, sub_complex, mul_complex, div_complex）を、数の表現方法とは無関係に複素数の一部にアクセスする汎用セレクタで定義することによって、これを達成することができる。その結果、図2.29に示すように、複素数システムには2つの異なる種類の抽象化バリアが存在する。水平」抽象化バリアは、図2.2のバリアと同じ役割を果たす。これは、「高レベル」の演算と「低レベル」の表現を分離するものである。さらに、「垂直」バリアは、代替表現を別々に設計し、インストールする能力を与えてくれるものである。

データの抽象化は、"最小公約数の原理 "の応用と考えることができる

データの抽象化は、"最小公約数の原理 "の応用と考えることができる。第2.4.1節の複素数システムの実装では、Benの直方体表現とAlyssaの極座標表現のどちらかを使うことができる。セレクタとコンストラクタによる抽象化バリアのおかげで、データオブジェクトの具象表現の選択を最後の瞬間まで先延ばしにすることができ、システム設計の柔軟性を最大限に維持することができる。

https://sourceacademy.org/sicpjs/2.4.2

my_co_num_x を定義するまで計算方法がどちらでもいいということがいいたい。選べる計算手段としてセレクタ、定義する瞬間がコンストラクタということか

議論はこれ以降「どこまで評価を遅らせることができるか」という議論になる。やがて議論は「名前の衝突」へむかう。

必要なのは、システム設計をさらにモジュール化する手段である。これを実現するのが、データ指向プログラミングと呼ばれるプログラミング技術である。データ指向プログラミングがどのように機能するかを理解するためには、異なる型の集合に共通する一般的な操作の集合を扱うときは、事実上、一方の軸に可能な操作、他方の軸に可能な型を含む2次元の表を扱っている、ということから始めてください。表中の項目は、引数の種類ごとに各操作を実装する関数である。前節で開発した複素数システムでは、演算名、データ型、実際の関数の対応を、汎用インタフェース関数のさまざまな条件節に分散して記述していた。しかし、同じ情報を図2.34のような表で整理することも可能であった。
データ指向プログラミングとは、このようなテーブルを直接操作するプログラムを設計する技術である。前回は、複素数計算コードと2つの表現パッケージとのインタフェースの仕組みを、 それぞれ型に対する明示的なディスパッチ（ explicit dispatch）を行う関数の集合として実装しました。ここでは、演算名と引数の型の組み合わせをテーブルで調べて、適用すべき正しい関数を見つけ、それを引数の内容に適用する1つの関数としてインタフェースを実装することにする。このようにすれば、新しい表現パッケージをシステムに追加する場合、既存の関数を変更する必要はなく、テーブルに新しいエントリを追加するだけでよい。

前節では、データオブジェクトが複数の方法で表現できるようなシステムを設計する方法を見た。その鍵は、データ操作を記述するコードを、汎用的なインタフェース関数によって、複数の表現にリンクさせることにある。ここでは、この考え方を用いて、異なる表現に対して汎用的な操作を定義するだけでなく、異なる種類の引数に対して汎用的な操作を定義する方法について説明します。

https://sourceacademy.org/sicpjs/2.5

強制適用（コエーション：Coercion）

強制適用（コエーション：Coercion）
一般に、全く関係のない型に全く関係のない操作を行う場合、明示的に型をまたぐ操作を実装することは、面倒ではありますが、期待できる最善の方法です。幸いなことに、型システムに潜在する構造を利用することで、通常、より良い結果を得ることができる。異なるデータ型が完全に独立しているわけではなく、あるデータ型のオブジェクトを別のデータ型であると見なす方法がある場合があります。例えば、普通の数と複素数を算術的に組み合わせるという問題があった場合、普通の数を虚数部が0である複素数として見ることができる。このような処理を強制（コエーション：Coercion）と呼ぶ。これにより、問題は2つの複素数の組み合わせに変換され、複素数演算パッケージによって通常の方法で処理することができる。

プログラミングにおける「コエーション」（Coercion）とは、型の自動変換を指す用語です。これは、プログラムが異なるデータ型の値を取り扱う際に、自動的に一方の型をもう一方の型に変換することを意味します。コエーションは、型システムが弱く型付けされた言語や、動的に型付けされた言語で一般的に見られる現象です。

強制適用テーブルが設定されたら、2.4.3節のapply_genericfunctionを修正することで、強制適用を統一的に処理することができます。ある操作を適用するように要求されたとき、我々はまず、前と同じように、その操作が引数の型に対して定義されているかどうかをチェックする。もしそうなら、我々は操作と型のテーブルで見つかった関数にディスパッチする。そうでなければ、強制を試みる。

コンピュータ・プログラミング、特に関数型プログラミングと型理論において、代数的データ型（ADT）は複合型の一種であり、すなわち他の型の組み合わせによって形成される型である。
代数的データ型の一般的なクラスは、積型（すなわちタプルおよびレコード）と和型（すなわちタグ付きまたは不連続の共用体、共積型または変量型）の2つである[1]。
積型の値には、通常、フィールドと呼ばれるいくつかの値が含まれています。その型の値はすべて、フィールド型の組み合わせが同じである。積型のすべての可能な値の集合は、そのフィールド型のすべての可能な値の集合の集合論的積、すなわちデカルト積である。
和型の値は通常，バリアントと呼ばれるいくつかのクラスにグループ化される．バリアント型の値は通常、コンストラクタと呼ばれる準機能的な実体で作成されます。各バリアントはそれ自身のコンストラクタを持ち、それは指定された型を持つ指定された数の引数を取ります。和の型のすべての可能な値の集合は、そのバリアントのすべての可能な値の集合の集合論的な和、すなわち離接結合である。列挙型は、コンストラクタが引数を取らない和型の特殊なケースであり、各コンストラクタに正確に1つの値が定義される。

https://en.wikipedia.org/wiki/Algebraic_data_type

代数データ型の値はパターンマッチングによって解析され、コンストラクタやフィールド名によって値を識別し、その中に含まれるデータを抽出する。

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