ホッブスのリヴァイアサンて前置きが長すぎないですかね
ホッブスの『リヴァイアサン』の前置きが長いと感じるのは、多くの読者にとって共通の印象です。この前置き(序文)部分では、ホッブスが自身の哲学的立場や政治理論の基礎を詳しく説明しており、特に自然状態や社会契約の概念を紹介しています。彼の目的は、読者に彼の理論を理解させ、彼の議論を展開するための基盤を提供することです。
このような詳細な序文は、ホッブスが当時の政治的・哲学的な議論において自分の位置を明確にするために必要だったとも言えます。ただし、現代の読者にとっては、かなり専門的で抽象的な内容が含まれているため、難解で冗長に感じられることが多いです。
ホッブスの理論をよりスムーズに理解するためには、彼の時代背景や当時の政治状況についての基本的な知識を持っていることが助けになります。また、全体の構成を把握しながら読むことで、序文の意図やその後の議論との関連性が見えやすくなるでしょう。
『リヴァイアサン』から社会契約論に関連する部分だけをダイジェストで読むために、以下の重要なポイントに注目するとよいでしょう。これにより、ホッブスの社会契約論の核心部分を理解できます。
社会契約論の要点
自然状態と人間の性質(第13章):
ホッブスは、人間の自然状態を「万人の万人に対する闘争」として描写します。この状態では、個人は自己保存のために他者と競争し、無政府状態が続くとします。
自然権と自然法(第14章):
自然状態では、各人が自己保存のためにあらゆる手段を取る権利(自然権)を持ちます。しかし、ホッブスは、理性によって導かれる自然法が存在し、人々は平和を追求し、契約を結ぶべきだと主張します。
契約の形成(第15章):
社会契約は、個々の自然権を放棄し、共通の権力(国家、リヴァイアサン)に権力を委ねることで成立します。これにより、平和と秩序が確保されます。
国家の形成と主権(第17章):
社会契約の結果として、国家が形成され、主権者(統治者)が権力を持ちます。この主権者は、法の制定と執行、紛争の解決、外敵からの防衛などを行います。
主権者の権限(第18章):
ホッブスは、主権者の権限が絶対である必要があると主張します。主権者の権限が制限されると、再び無秩序状態に戻る可能性があるため、主権者の決定は最終的かつ無条件に従わなければならないとします。
社会契約の正当性と服従(第21章):
主権者に従うことは契約の一部であり、個人の安全と社会の秩序を維持するためには必要です。契約に基づいて成立した主権者の命令に従わないことは、再び自然状態に戻ることを意味します。
読むべき章のまとめ
第13章: 自然状態と人間の性質
第14章: 自然権と自然法
第15章: 契約の形成
第17章: 国家の形成と主権
第18章: 主権者の権限
第21章: 社会契約の正当性と服従
これらの章を中心に読むことで、ホッブスの社会契約論の主要なポイントを把握できます。他の部分については必要に応じて参照する程度に留めるとよいでしょう。
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