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🍫スペインの社会政策はそれぞれが同一集団内でめいめいべつに配偶することを理想としていた

ぼくのなかの、カソリックと
原始的なな部分が
とけあって
まざろうとしている
からだからながれるこのえきたいと
ぼくのなかのつらみ、憎しみとやさしさが
まざりあって
僕が
チョコレートとなるのだ
両腕はあさぐろくなり
つけたした部分の
色がまざりあっていく
悲しみと喜びが
まざりあっていく
邪悪とせいぎが
まざりあっていく

その声はいう

「スペインの社会政策は
それぞれが
同一集団内でめいめいべつに
配偶することを理想としていた

そのためアメリカには
政治・経済権力を担う少数の
スペイン系白人と
その下に位置する 大規模な
原住民階層
そして社会の最下層たる広範な
奴隷集団という
三つの集団を基礎とする
階層化社会が生まれるはずであった

確かに奴隷に限ってみるなら
素性もしれず邪教の罪を背負った
軽蔑すべき最下層の人間
として扱われたが

全体としてスペインの理想を実現することは不可能であった

三つの人種集団は上位、下位と大量にまざりあい
スペイン人が
カスタ
と名づけた数々の新たな人種がたんじょうした。」*1

声はまだつづく


ひとは---婚姻、婚姻外を問わず----
メスティーソ(混血)だ
後輩を繰り返し、もろくなり、弱り、滅び、朽ち果てる

屍をかえりみるものはいない

お前の座っている席は、シミとしてだけのこる

お前のことを、金輪際覚えているものはない

ひとはそして、そのきたなさ、まずさ、どうにもならない力関係に

ねじふせられ、悲観し、泣き

ぜつぼうする!」


カスタはまざりあい、どんどんバリエーションをふやしていく

ぼくのからだは腫れあがり
小人たちは横たわったぼくのからだに
バナナの皮をかぶせていく

インディアスは言う
「君の体は、これからどんどん腐って行く
ボードレールの時代に腐敗が悪徳となったが
それは
フランスの保守的なカソリックの美の
たんなるうらがえし(Inverse)である」

ぼくは答える
「サントブーヴは言う
詩の領域では一切のものが題材になる。
ラマルチーヌは大空をとりあげた
ヴィクトルユゴーは大地と大地以上のものを取り上げた
炉端や、田園生活をとりあげた人たちもいる
テオフィールゴーチエはスペインとその豊かな色彩をとりあげた
その後になにがのこっていたか
それこそボードレールのとりあげたものであって
彼はいわばそれを強制されたのである」*2

インディアスは答える
「フランスの領土に、未開の地などない
見方をかえただけの、カソリックの美の追求だ

ククルカンははじめ、われわれに
知恵の実をくれた
その対価はけっしてやすいもんではなかった
わたしの民族はほぼほぼ全滅し
そのかわり新しい民であるアフリカ人が
この地でさらに虐げられた時をすごす
その数は一億にもなると聞く
これを
カソリックの
腐敗と呼ばれても
いたしかたがない

しかし、それでも
我々は頭を低くしよう
パパ・カサスがおしえてくれたように
こうべをたれて その残虐さとわれわれの
狂うばかりの憎しみもうけいれよう
だから君もその君のからだに起こるこの変化を
腐敗とはよばずに
熟成(発酵:mature)といえ」

ぼくはめをとじた

「発酵には二つのステップがあり
最初はまず空気のないところで起きる
砂糖が酒(エタノール)に変わる生成変化だ
キリストが水をワインにかえたように
カカオ糖はカカオ酒になる
厳格な戒律と権威の下で
君は成功の誉れに酔いしれる」

ぼくのからだはやおら熱を帯び
完璧なルールの下で頬があからんで
うっとりする
ぼくのからだはとけはじめ
ゼリー状のものになる(ドレーニング=ペクチンの分解)

「次のステップは、空気が入りこむところで
起こる、これは端的にいえば
酸化だ
酸化がはじまれば、活動はよけいにせわしなくなり
たいおんはじょうしょうし
やがてすべては
熱死(heat death)する

このステップにより、純粋なものだけが残る
液化したおまえのからだは
ほとんどが霧とガスだ
カルヴァンが成したような
徹底的的な規則の上で
君の熱は頂点に達し
その熱が水を蒸発させ
熟成から七日目
個体としての君はもう死ぬ」

カルヴァンはいう
「そして死体にのこるのは、予定通り
やわらかさ(アミノ酸)、あまさ(還元糖)、そしてなめらかなにがさ(ポリフェノール)
である
君の体の大半をバターが占める
たべものとしての君のなめらかさを決めるのも
このバターだ

ヒトのバターは
血と成分の似通った
乳から
油分だけをとったものだ

そのようにして得た血のあぶらは
溶けやすい
なぜなら 構造が純粋さを超えて
単純となるからだ」

純粋さをこえた単純さ
カルヴァンが求めたもの
ひとびとがアリのようにはたらき
アリのようにものを貯め
もはや、アリのように考えること
カルヴァンが求めたもの

アリがアリであるために必要なこと

ヒトが教会を通じて神の国に入ることとは
当時むじゅんしていた
アリはアリなりの
シンプルな構造を持ち
教会(カソリック)にもんくを言う
その虐げられたアリたちのことを
カソリックは
プロテスタント(文句を言う者)
と呼んで
忌み嫌う

しかし、カソリックを酵母として
プロテスタントははえやあぶのように蔓延し
「個性」のめざめはおこる

つづく




*1「ラテンアメリカと奴隷制」Rメジャフ
*2「パリの憂鬱」河盛好蔵

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