#2 うどんの上で繰り広げられる天ぷらデスマッチ『えび天VSかき揚げ』
うどんに乗せる具材を考える時、人は悩む。それは老若男女を問わず永遠に繰り返される議題だ。
『Shrimp tempura VS Mixed-vegetable tempura えび天 vs かき揚げ』は、えび天とかき揚げが、うどんの具材の座を賭けて激しいバトルを繰り広げるゲーム。決められないのなら、具材同士を戦わせて決着をつけるしかない。
プレイヤーはえび天を操作し、かき揚げと戦うことになる。どちらかが下に落ちるか、あるいは両方とも下に落ちればバトル終了。床に落ちた具材は、当然のように爆発四散して絶命する。生き残った具材によってうどんは完成するが、両方の具材が落ちてしまえば素うどんになってしまう。
えび天はクリックすることで回転を始めるが、そこで初めて我々は気づく。えび天はうどんの上で戦うには圧倒的に不利な構造をしていることを。人類史において、えび天をうどんの上で戦わせた記録がなかったので、誰も気づかなかったのだ。
一方で、対戦相手であるかき揚げの性能は凄まじい。ジャイロ効果をいかんなく発揮できる真円のフォルム、相手をずたずたに切り刻むことに特化した鋭い刃、いくつもの野菜の残骸を繋ぎ合わせたおぞましい外見、うどんの外周を無感情に回転し続けるその様は、まさに悪魔のサーキュラソー。殺人マシーンだ。さらにリカバリー力も半端なく、縁から身体の8割が飛び出ていたとしても、抜群の安定性と遠心力により難なくフィールドに復帰してしまう。手がつけられない。かき揚げ派ならば試合放棄するだけで簡単に望みが叶うのだが、もしえび天派だったのなら地獄を見ることになるだろう。文字通り、えび天の遺骸の山を築くことになる。せめて爆散する際に衣の欠片をうどんの中に飛ばすことで、傷跡くらいは残したい。運が良ければ、むき海老を丸ごと乗せられるかもしれない。結果は何も変えられないが、えび天としての矜持は見せてやろう。
かき揚げの恐ろしさを植え付けられることになる本作だが、実はゲームの仕様上、争えば争うほど両者ともにリングアウトになり素うどんが出来上がってしまう結果になりがちだったりする。片方が落下した時点でもう片方の動きも止まるので、縁際で勢いを失ってもろとも落ちてしまうからだ。争わなければ、素うどんをすすることもなかっただろう。本作は、戦いの虚しさを教えてくれているのかもしれない。
ちなみに、これは最も重要な情報なのだが、「えび天とかき揚げがぶつかった時の音は、実際にえび天とかき揚げをぶつけて収録している」とのこと。素晴らしい。まさに職人のこだわりだ。ごちそうさまでした。
プレイ時間:お腹いっぱいになるまで 【ブラウザプレイ可能】
ココイチでカレー食べます。