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#12 山に巣食う悪しきドラゴンを討ち倒せ『Slay the Dragon!』
ドラゴンに攫われた弟を救うため、大剣を片手に奮闘する女の子の大冒険を描いたハックアンドスラッシュ・アクションアドベンチャー。ドラゴンが待ち受ける山頂までのほぼ一本道を、敵を倒しながら突き進んでいくという明快な構造で、クリアまでじっくりやっても1時間かからないくらい。ハックアンドスラッシュと銘打たれているが、レアアイテム収集やキャラクター強化の要素はなく、もっと根源的な「敵を倒しまくる」みたいな意味合い。
弱攻撃と強攻撃を合わせたコンボやローリングなど、基本的な立ち回りがしっかりできているし、スウェーデンの田舎に着想を得たというビジュアルやBGMのセンスもとても良い。倒した物体系の敵がバラバラになったり、決め技にヒットストップがかかったりと、戦闘の気持ちよさもちゃんと生み出せている。道中に隠されているイチゴを全て集めると、結末が少し変わる遊び心も仕込まれている。テキスト量は少ないが、その全てがスウェーデン語(?)のフルボイスで綴られる点も注目。
本作はデンマークの学生たちによってワークショップで制作されたゲームだが、自分たちの力を出し切って最高のゲームを作ってやるんだという気概が随所から感じ取れる。決してゲームデザインが洗練されているわけではないが、基本に沿った丁寧な作りで、影響されたゲームのエッセンスも素直に取り入れているのがよく分かる。難度的なカジュアルさ(落下で一撃死という一部シビアさはあるが)も手伝って、手をつけたら最後まで遊んでしまう引力が間違いなくある。
兄が妹を救うという従来のパターンを、見た目ごと逆転させることで、プレイヤーのジェンダー意識を揺さぶってくるのも特筆すべき。そういうアイデアが学生作品から出てきたのは、ゲーム業界全体レベルで意義のあることだと思える。
結末も素晴らしく、1時間以内で完結する小さなハックアンドスラッシュ(戦闘特化ゲーム)を、最終的に物語によって収束させていた。
プレイ時間:30分~50分くらい
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