~激動の2020年を考える~(1)今後の働き方改革に不安も~|迷想日誌
今年も12月となりました。激動の2020年を振り返ってみたいと思います。
まず、雇用・労働問題では、通常国会において、賃金請求権の消滅時効を今年4月に施行した改正民法と同様に原則5年に延長する労働基準法改正が行われました。また、65~70歳までの高年齢者就業確保措置を努力義務化した高年齢者雇用安定法改正がありました。
年金制度改正も重要です。被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給の在り方の見直し、年金受給開始時期の60~75歳への拡大などが実現しました。
毎日、新たな出来事を追っていると、いずれも遠い昔のことのように思えます。
そして、直近の臨時国会では、全く新しい概念の労働者協同組合法が一瞬のうちの成立しました。
さらに、「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」が1年振りに再スタートしました。
これは、どう考えても菅政権がゴーサインを出したタイミングです。
こうみると、今年も働き方改革が強力に推進されたとみて良いでしょうが、いずれも前・安倍政権からの引継ぎ事項です。
今後、全面的な働き方改革がさらに進むか、少々心配なところがあります。
というのは、先週にまとまった政府の「成長戦略会議」の計画で、雇用・労働問題の採り上げ方が、軽過ぎると感じたためです。
目次を追うと、「雇用の維持と労働移動の円滑化」「テレワークの定着に向けた労働法制の解釈の明確化」「新しい働き方の実現」「無形資産投資・人的投資の促進」となっていて、真新しい提案はありません。しかも、全部でほぼA4、2ページ分しかなく、前政権の働き方改革への姿勢とは開きがあります。
このままだと、菅政権では、働き方改革が先細りとなる可能性が大きいと思われます。
政策関係者は、新たな改革アイデアを提案し、強力に働きかけていかないと、注目度が低下していきかねません。
一方、国の経済政策を俯瞰すると、今年は大きな転換期に差し掛かっています。当然、雇用・労働問題にも影響大です。
一言でいえば、国がこれまで主張してきた「財政均衡主義」からいよいよ脱却し始めました。
これには、コロナ禍が大きくかかわっています。本メルマガでも主張してきたあるべき方向にようやく向かっていくように感じます。
続きは、次回に譲ります。
労働新聞編集長 箱田 尊文
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