賃上げ、生産性向上支援に400億円――厚労省3年度|迷想日誌
前回に続いて、厚生労働省の令和3年度予算概算要求についてご紹介します。
やはり重要なのは、「ウィズコロナ時代の労働環境の整備、生産性向上の推進」です。
ウィズコロナ時代の「新たな日常」において、安全で健康に働くことができる職場づくりとともに、最低賃金・賃金引上げ、同一労働同一賃金の推進など公正な待遇確保により、労働環境の整備を実施するとしています。
最も予算要求額が多いのが、「最低賃金、賃金引上げに向けた生産性向上等の推進、同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」で、461億円プラスコロナ緊急分となつています。
このうち、最低賃金・賃金の引上げには、特に中小企業・小規模事業者の生産性向上が不可欠として、助成金コースの新設・拡充を行うとしています。
具体的には、業務改善助成金の支給枠を広げる方針としていますが、これについては現在取材中となっています。
大きく予算額が拡大しそうなのが、「未払賃金立替払の確実・迅速な実施」で、前年度の79億円から222億円へと、3倍近くを要求しました。立替払制とは、企業が倒産したために賃金が支払われないまま退職した労働者にその一部を事業主に代わって支払うもので、当然、今後立替払が増加していくでしょう。また、スムーズな制度運用のため立替払実地調査員を配置します。
同一労働同一賃金に関しては、「働き方改革推進支援センター」によるワンストップ相談窓口で、業界別マニュアルを活用した支援と個別訪問支援、出張相談、セミナー、専門家チームによる支援を実施し、制度の的確な運用を図っていきます。
一方、令和4年4月1日より、職場におけるパワーハラスメント防止措置が中小企業において義務化(大企業は施行済み)されますので、専門家による個別訪問などを行って、防止に向けた取組支援を行うとともに、外部相談窓口の運営を行います。
なお、予算概算要求における注目事業については、今後も順次個別取材を敢行し、「労働新聞」などに掲載していく予定です。
労働新聞編集長 箱田 尊文
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