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裁量労働制適用者の健康確保へ|気ままに労働雑感

厚生労働省はこのほど、今年7月に設置した有識者会議「これからの労働時間制度に関する検討会」の第7回会合を開き、今後の論点案を示しました。
裁量労働制について、「時間配分や仕事の進め方を労働者の裁量に委ね、自律的で創造的に働くことを可能とする」といった趣旨に沿った制度にするための方策を論点の1つに挙げています。

具体的には、対象業務や対象労働者のほか、制度適用に当たっての本人の同意および同意の撤回、健康・福祉確保措置のあり方などを検討課題としています。

第6回までに行ってきた裁量労働制導入企業・労働組合・労働者個人へのヒアリングによると、健康・福祉確保措置として、在社時間や実際の時間外労働が一定の基準を超過した場合、その労働者に対する裁量労働制の適用を解除する方針としている企業がめだちます。
たとえば従業員数1万人以上の電気機械器具製造業では、所定労働時間を超えた時間が月80時間超に及んだ場合には、自動的に翌月から適用を除外しています。
そのほかにも半年に一度、本人の意向を確認し、除外の申出があった場合に適用を外す仕組みになっています。

こうしたヒアリング結果を受けて、第7回会合では、委員から、「本人の意思で適用を外れることもできるといった選択肢の確保が大事。
本人が夢中になって働きすぎてしまう場合には、第三者が歯止めをかける必要があるため、自動的に適用を外れる健康確保措置のあり方も議論していくのが重要」との意見が挙がりました。

裁量労働制は柔軟性が高く自律的な働き方として期待される一方で、労働者の健康面が心配されるケースも少なくありません。
長時間労働による健康障害を防止するためにも、企業において労働時間を確実に把握し、長時間労働に至った労働者を自動的に適用除外となる仕組みを導入するのが望ましいと考えます。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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