失業の増加に対処――新・田中職安局長が会見|迷想日誌
コロナ禍で少々遅れ気味ですが、厚生労働省の8月7日の幹部人事異動で新任となった局長の政策方針に関する取材を行いましたので、主な内容をご紹介します。
今回実施したのは、田中誠二職業安定局長です。やはり、最大の関心事はコロナに伴う雇用情勢悪化についてです。
田中局長は、労働者の失業防止のため、引き続き雇用調整助成金の円滑な支給をまずは第一の課題としながらも、今後失業が増えた場合の方針に言及しました。
離職者対策とくに早期再就職と職場定着の促進に力を入れるとし、具体的にはキャリコンサルティングや求人開拓を強化し、コロナショック後に新たに生じるであろう職種や求人とのマッチングを総合的にバランスよく進めるとしました。
現実にも製造業、宿泊・飲食、運輸などで求人が落ち込んでいます。
キャリアコンサルティングにより能力の棚卸を行ったり、職場見学を強化して職業転換を促進させ、新しい求人ニーズに対応したいと話しました。
つまり、田中局長は、コロナショックにより雇用構造の変動が加速しているとみています。
雇用構造の変動を念頭に置いた人材の円滑な移動と能力発揮を支える労働市場の基盤整備が重要になるとしているわけです。
人材開発行政とも連携しながらわが国にふさわし労働市場を再整備していくとしています。
直近のコロナ対策というより、中長期を見据えた方針を示したもので、重要な視点といえます。
今般改正された高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会確保に向けた企業の努力義務を明記しました。
すでに65歳までの雇用義務は99.8%の事業所で達成され、次の段階に来ているとみています。
ただし、70歳までの就業機会確保については雇用以外の選択肢を設けています。
分かりにくい点も多々あるため、今後、運用規則などが固まり次第、改正内容の周知に努めていきたいとしました。
就業機会の確保を行う企業については何らかの支援策を検討中としています。
他方、7月に「中間整理」をまとめた派遣制度改正に関しては、注目の日雇派遣について触れました。
日雇派遣の原則禁止はそのまま続けるものの、例外措置のあり方については、今後改めて検討するとしました。
その際、職業紹介の「日々紹介」も念頭に置くとしています。
労働新聞編集長 箱田 尊文
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