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ドライバーの労働時間改善は荷主対策がカギ|気ままに労働雑感

令和6年4月から時間外労働の上限規制が適用される運送業の自動車運転者について、厚生労働省・労働政策審議会労働条件分科会の作業部会において労働時間等改善基準告示の見直しに向けた検討が行われています。
バスとタクシー・ハイヤーに関しては、見直し案がまとまりましたが、荷主の都合による手待ち時間が多く発生しているトラックについては、拘束時間や休息期間などに対する労使の意見の隔たりが大きく、いまだに着地点を見通せない状況になっています。

たとえば、現行基準において原則293時間以内とし、労使協定によって「年間3516時間を超えない範囲内で、年間6カ月に限り、月320時間まで延長できる」としている1カ月の拘束時間については、労働者側が原則275時間以内を求めているのに対し、使用者側は293時間を維持したうえで、年3408時間を超えない範囲内で6回を限度に月320時間まで延長できる案を示しています。

5月19日に開催された作業部会で使用者側は、手待ち時間発生などの商習慣が変わらない限り、拘束時間などに関する主張を改める考えがないことを表明。運送事業者と契約関係にない着荷主の対応に問題のあるケースがとくに多いとして、荷主への効果的な対策の実施を行政に求めました。

これに対して厚労省では、「荷主へのアプローチを個別に行えないか検討しているところ」と話しました。
取引上必要な配慮を事業者に求めている労働時間等設定改善法を根拠とした個別指導の実施などを想定しているようです。

トラック運転者の労働時間を改善するには、運送事業者の積極的な取組みとともに、荷主側の理解・配慮が欠かせません。
年内を見込んでいる告示の改正から施行時期の令和6年4月までの間に、荷主への重点的な周知が必要といえるでしょう。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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