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労働新聞編集長の気ままに労働雑感

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2022年3月の記事一覧

運転者の休息時間は9時間?11時間?|気ままに労働雑感

厚生労働省の労働政策審議会の作業部会はこのほど、バス、ハイヤー・タクシー運転者に関する労働時間等改善基準告示改正に向けた報告を取りまとめました。 運送業で脳・心臓疾患による労災支給決定件数が多いことから、過重労働防止対策として告示見直しに向けた検討を進めていました。 報告では、バス、タクシー(日勤)ともに現行告示によって「勤務終了後継続8時間以上」と定めている1日の休息時間について、「勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする

偽装一人親方の撲滅を|気ままに労働雑感

建設業における時間外労働の罰則付き上限規制の施行まで2年余りとなるなか、国土交通省において、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂に取り組んでいます。「偽装一人親方」問題への対処が目的です。 個人事業主である一人親方は法令上、発注者側には社会保険に加入させる義務がないうえ、働き方改革関連法に基づく年次有給休暇の取得義務や、時間外労働の罰則付き上限規制が適用されません。 そのため、一部の建設企業では規制逃れを目的として、労働者である技能者を一人親方にする「偽装一人親

受入れ企業にもメリット多い在籍型出向|気ままに労働雑感

厚生労働省はこのほど、在籍型出向を利用して雇用維持に取り組む事業主を対象とする産業雇用安定助成金の活用実績を公表しました。 昨年2月5日の制度創設からの1年間で受理した出向実施計画届は、労働者1万440人分、出向元1063事業所分、出向先1746事業所分に上るといいます。 それによると、大企業だけでなく中小企業にも幅広く活用されており、中小企業から中小企業への出向が43%に当たる4456人に達しています。 出向元は観光業や交通業がめだち、運輸業・郵便業が4103人で最多で