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コピペじゃない音楽レビューって本当に必要?①

こんにちは。Rodentia Collective のマキノです。

タイトルを見て、「何言ってんだこの人」と思った人。「うーん、どっちでもいいんじゃあないかな…」と思った人、色々いらっしゃると思いますが答えはあるのか。音楽レビューと一言に言っても、いろいろとあると思うのですがこの記事ではレコ屋のレビューを前提とします。情報発信のためのメディアではなく、商品を売るためのレビューです。

まず、自分のレビューに関しての話をしておこうと思う。そもそもなんでレコ屋をやっているのか?という話の前に、なんで音楽業界に入ったのか?というところまで遡ると大変だけど、これだけは書いておこうと思う。

私は、学生時代にタワーレコードM店の試聴機でCDを試聴中に、何の気なしに書かれていたポップを読み、レコ屋の店員になりたいと思った。言葉でこんなに人を音楽に巻き込めるのかと衝撃を受けた。音楽はずっと好きだし、人に薦めるのも好きだった。学生時代からノートにレビューという名の感想をかいたり、友達に焼いたCD-Rに押し付けがましい感想を書いたりというのはしょっちゅうやっていたが、仕事として書いたことはなかった。そして時は経ち、(超省略すると)社会人になり、挫折し、やはりレコ屋で働きたい!と謎の使命感に駆られタワレコのアルバイトに応募しその後別のレコ屋で働き、自らのレコ屋を開業することとなる。

では、私のレビュー原体験についても少し話そう。私のレビュー原体験は、タワレコのアルバイト時代のbloodthirsty butchersのトリビュートアルバム『Yes, We Love butchers
〜Tribute to bloodthirsty butchers〜 』のポップ作成だ。

こちらでも自分のレビューに関して話している&色々な人のレビュー体験が読めるので良かったら! )

初めてレコ屋でバイトを始めたのがタワーレコードH店。なんでこの店を選んだかというと、単純に受かったから。当時、地元神奈川では募集店舗がなく、バスと電車で1.5hかけて通勤していた。20代前半に新人バイトで入った私は、自分が好きで書きたいものを書くというのではなく、このポップ書いてくれる?と社員に言われたものを書くということを知る。他の店に勤めていた友達は「ゲロッパ!」のサントラが初めてのポップ作成だったらしい。どの職場もそうだと思うけど、新人には仕事を選ぶ権利ないような雰囲気だった。というかタワレコは音楽が好きな人ばかりなので、誰が何を書くとかも結構決まっているように感じた。社員さん、バイトの先輩、それから新人、みたいな。レコ屋に入ってとにかくポップを書くのが楽しみでしかたなかった私は、早く他の業務も覚えて自分の好きなものをプッシュできるように頑張ろうと思った。

でも、今思うとブッチャーズのトリビュートを新人に書かせるなんて…(いろいろな意味で)と思う。私は自分の好きな物以外にまったく興味がなく、知らないものは知らないというスタンスだった。だが、音楽業界に入っておけば自然と触れ合うことになるだろうし、刺激はたくさんあったので知識がないから云々というのはあまり思わなかった。当時ブッチャーズのことを知らなかった私は、本部から送られてきた既成のポップをさらっと読み、すでにメンバーの人が亡くなっていたことを知る。

これまで自分が書いていたレビューは仕事ではなく、趣味だった。正直言うとタワレコでポップを作ってそのお陰で売れたからといって自分に臨時収入が入るわけでもない。でも、仕事だからやってみるかと思ってPCで調べながら書き始めた。家で。(勤務時間にはポップ作成する時間がなかった。レコ屋でのポップ作成は今思うとタダ働き同然だったなと思う。自分がレコ屋をやることで回収はできているけど。)

では、本題に入ろう。レビューを書くには、まずそのアーティストの基本情報が必要だ。とはいえ、"ブッチャーズのトリビュート"という文字を読んで、意味が分からない人は少ないと思うが私自身詳細を知らなかったので詳細を調べた。そこで思ったのは、"知らない人にも知ってもらおう"というものだった。音楽は好きだけど、このバンド知らないよ!って人とか、アートワークの奈良美智さんの絵に見覚えが…って人にも知ってほしい最低限の情報って、今回の場合だと①アーティスト/バンドの基本情報、発売年数 ②なぜこのトリビュートがリリースされたのか ③参加アーティストの情報 ④アートワーク…ここらへんの情報は不可欠。これがなくてブッチャーズにめっちゃ思い入れがある人が自分のポエムみたいなのを書き連ねても、ブッチャーズが好きな人には響くけど、ブッチャーズを知らない人にはなんのこっちゃと思われるし、むしろ引いてしまう。こうやって思い返すと、ブッチャーズのこと知らない私が書くのが良かったんじゃあないかと思う。

このように必要な情報を書いた後に、やっと自分の感情を入れる。ここら辺はひとによると思うので私の場合は、だ。ただ、私はこの作品のポップを書くにあたりブッチャーズのトリビュートアーティストに感動したのではなく、Jack Nicolsonのビデオ、歌詞、音にとても感動した。浅はかながらにも涙した。だから、こんな素晴らしいアーティストのトリビュート作という観点で書こうと思った。失礼ながら、日本のバンドをあまり知らなかったので、どのバンドがすごいとか分からなかったから、ブッチャーズがいかに周りのアーティストの心を動かし、行動させ、この作品が生まれた、みたいなことを書いた気がする。そのころのポップは、もう手元にないし、そのポップによって誰かが買ったのかも知らないけど。

さて、話は戻る。私はなぜだか最初のレビュー体験ですでに、コピペじゃない音楽レビューを無意識に書いていた。そしてそれは、特別そのアーティストが好きじゃなくても、知らなくても、商品を売るためにその商品を知ってもらおうという気持ちから生まれる。加えて、アーティストの基本情報(活動拠点や国など)はオフィシャルで公表されているもの使用するが、それ以外の"感動"の部分や"自分は、ここがポイントだと思う部分" はやっぱりオリジナルじゃなきゃいけないと思う。レビューは、ロボットが書いているのでもなく自動生成されたものでもなく人間が書いているのだから。では次に考えたいのが、リアル店舗ではなくWeb Shopの商品レビューはどうか?というところだ。

②に続きます!

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