カセットテープは好きですか?
こんにちは。Rodentia Collectiveです。
当店はレコード屋ですのでレコードのお取り扱いがほとんどなのですが、カセットテープもございます。ということで今回は当店の取り扱いカセットテープを紹介していきます。といっても全て紹介するのではなく、いくつかオススメをピックアップしてご紹介しますね。
ここで紹介しているものはすべて購入可能です(見出しをクリックすると商品ページに飛びます)。ただ、在庫残り1つのものもあるのでお気をつけください!良かったらカセット・フリークスの皆様買ってください!
Dragon New Warm Mountain I Believe in You / Big Thief
来日公演も決定しているインディー・フォーク・バンド Big Thiefの2022年最新作。4ADからのリリース。動物たちが火を囲み楽しく演奏している姿のアートワークは、まるでバンドが寄り添って、静かに音楽を奏でているかのよう。
ひとつのスタイルだけでなく、雰囲気も様々な曲たち。この作品は、コンピレーションアルバムと言ってもいいかもしれない。それもそのはず、この作品は合計4箇所にも及ぶ別々の場所てレコーディングされたのだ。というのも、ニューヨーク州北部、トパンガキャニオン、ロッキー山脈、アリゾナ州ツーソン...バンドは5ヶ月間の制作期間を経て、全45曲を完成させた。 その中から最も心に響くものを選び、20曲の作品を作った。
音楽はスタジオやベッドルームで作るもの、という常識を逸脱した、壮大なるフィールドワーク。バンドの体験感覚をそのまま真空パックしたみたいな作品だ。
Untourable Album / Men I Trust
カナダ、モントリオールのインディーポップバンドMen I Trustの2021年作。デジタルとして先行リリースされていましたがプレス遅延等で2022年にレコード・カセットでもリリース!
この作品を色で表すなら、青っぽいグレー。天気は雨。これまでのMen I Trustの作品のなかで1番暗く、一番美しい作品だ。ファンク、ジャズ、アンビエント、ドリームポップ。そんなサウンドにも、歌詞にも、Emmaの歌声にも、すべてに"もや"がかかっている。それはこのLynn Goldsmithのアートワークを見れば痛いほどに分かる。アートワークを含めて1つの作品であるということを。
Men I Trustの音楽に、体ごと包まれていく。この混沌とする世界の中で、光輝くのではなく、心に空いてしまった穴にそっと手を被せるだけ、そんな音楽があってもいいじゃないか。国境をも超えて世界中で愛される作品になるだろう。
Glitch Princess / yeule
シンガポール生まれ、ロンドン在住のエレクトロニック・アーティストyeuleの2022年最新アルバム。Bayonet Recordsからのリリース。前作『Serotonin II 』で表現した、エヴァやFF13などのアニメ・ゲームのサウンドトラックからインスピレーションから生まれた音世界は、私たちを非現実世界へと連れて行った。対して今作『Glitch Princess 』は、その非現実世界とリアルな現実世界を2重に表現している。そして、前作よりも歌詞の濃密さは決して見逃せず、今作のキーワードは音以上に言葉(リリック)である。
Grimesの「Delete Forever」を彷彿とさせるようなオンラインとオフラインを唯一繋げるトラック「Don't Be So Hard On Your Own Beauty」。人間味のある温度で、アコギのサウンドに乗せて歌う。これは完全に意訳だし個人的解釈だが "自分の美しさに厳しくならないで"="自分の美しさに誇りを持って"というメッセーがある。一心不乱に躍り狂うMVで表現される世界はピンクとも言えない不穏な紫。だが、不思議と毒々しくなく美しい。優しさのあるコーラス。これまでとは違う、そう、誰かが決めた美の基準なんてないのだ。
本作を聴いて、彼女がひとりのアーティストとして提示したいもの、ひとりの人間として表現したいものが明確に見えた気がする。彼女の個性的・魅力的の先にある本質を見極めて欲しい。美しいか美しくないか、はたまた誰かが決めた美しさとは重要なのか?その答えはここにある。
Helium / homeshake
カナダ、モントリオールのPeter Sagarによるソロ・プロジェクトHOMESHAKE。どんなに気を張っててもへろへろにしてしまうような、気だるいR&B〜ベッドルーム・ポップをつくり、幅広いジャンルの音楽リスナーを虜にしてきた彼が約2年ぶりの新作『Helium』。リリース元はお馴染みCaputured Tracksと同じグループのsinderlyn。ジャケットアートワークは今回も彼のパートナー、Salina。
作品を出すにつれ、インディーロック〜ポップ、ベッドルームR&Bと音楽性も変わりつつあるところも聴きどころ。今作は完全なるベッドルームR&B。なんでも、自宅でレコーディングをしたんだとか。それも、真夜中に。結果、本当に夜にぴったりな作品になりました。
深呼吸して、目を閉じて。Homeshakeとともに心地よいひと時を。
FINAL / Hoach5000
東京で音楽活動を行うシンガー・ソング・ライターHoach5000初のフィジカル作品。TESTCARD RECORDSからのリリース。
USヘヴィグランジ/オルタナ文脈を感じさせる重厚なギターと金属質のビートは、ある種のストーナーロックを彷彿させる味わいもあるが、そのずるずるとしたヘヴィさとは対象的に馴染みのあるノスタルジックなメロディと甘めのヴォーカルで歌われる様は今この地で起こっていること、そしてこれから起こることの予感を感じさせる。
その予感とは90年代後期〜00年代初頭の、例えばMean Machine、the brilliant greenのようなオルタナを通過後のJ-POPのような。J-POPやJ-ROCKが好きな層だけでなく、洋楽だけを聴いてきた(現在も聴いている)ような私のような人間すらもその虜になる。
Twin Plagues / Wednesday
アメリカはノースカロライナ、アッシュビルのシューゲイズ・インディーロックバンドWednesdayの2021年発売2ndアルバム。アメリカのOrindal Recordsからのリリース。痛々しいほどに軋みまくるギターは心の痛み、歪む不協和音は人生のスパイスと払いのけていくような展開。彼らの根底にあるカントリーミュージック、そしてシューゲイザー(彼らはcountry-gazeとも提示している)を前面に押し出した曲など、聴けば聴くほどにハマっていく。
全てのどす黒い部分を洗い流してくれるかのような「How Can You Live If You Can't Love How Can You If You Do」は、スティールギターの美しい響きに心奪われる、とても詩的で、愛を歌った曲。彼らの地元のアッシュビル(かと思われる)のどかなMVにも注目してほしい。
Altar of Dreams / ASPIDISTRAFLY
シンガポールのApril LeeとRicks AngによるデュオASPIDISTRAFLYの2022年最新作がついに登場。2010年にリリースされた『A Little Fable』以来10年ぶり、3rdアルバムとなる。
『A little fable』で聴かせた、フォークとアンビエントが融合し穏やかで日常的な世界とは異なる、高貴で幽玄で、真新しい新次元の新しい世界を生み出した。彼らが日常的に愛聴しているという80年代のJ-popやアンビエント・ポップのチープな音質とエレガントなストリングスが交錯する様は、まるで細い糸を紡いでいくように流麗なサウンドだ。
シンガポール特有の前衛的美学とカルチャー、そして日本の懐古的な美学の融合。これをアートと呼ばずに何と呼ぶ?ASPIDISTRAFLYの驚異的なセンスと情熱が創り出したこの世界から戻れなくなる、いや、戻りたくなくるほどに悩ましい…。
当店のカセットテープ取り扱い一覧はこちらからチェックできます。