僕の背中 ショートショート#17
僕は今日、初めて背番号をもらう。
受け取ったあと、背番号がなぜ"背"番号なのか
考えてみた。
背中に付ける理由だ。
前に付けると邪魔、目障りになるから?
背中の方が邪魔にならないから?
いや、違う。
これは「見せつける」ためだ。
観客に、相手に、そしてチームメイトに。
背番号を受け取っていない者に見せつけるため。
前を走る者なのだから、前に付いていては
後ろの者には見えない。
背中だから、そこに見えるから追いかけるのだ。
だから背番号を持たないものにもついている。
目に"焼きついている"のだ。
そして試合では味方を背中で"魅せる"。
言動や態度には出さない。
ただ無言で背中で魅せるのだ。
チームメイトを鼓舞し、勝ちへ導く。
それが"背番号"。
僕はそれを心に刻み込み、背番号を付ける。
縦に一本、まっすぐに伸びた背番号。
最前線で孤独に戦う背番号を。
あとがき
今回は"背番号"の意味について書いてみました。
ちょうど野球中継を観てて、1番ってやっぱり
カッコいいなぁと思い、その人の想いを想像して書きました。