離島観光デジタルマーケティング活用戦略
マイナーを認知させるにはOtoOがいい
ご存知のように、沖縄は一括交付金を使用した沖縄振興に関するプロポーザル公募をよく行います。
しかも、公募が発表されて、締め切りは1週間とか、超ぎりぎり。
だいたい、4月5月は、コンペラッシュで、広告代理店の方は徹夜続きとなります。
おかげ様で、コンペを一緒にやりませんか?とお声かけいただけることがとても多いです。
企画する側は、企画の仕様書を読み込みながら、あーだーこーだと解釈し、そこから目的を達成する企画を行います。
20歳から企画畑を歩いてきた人間としては、このブレストする瞬間、シナプスがスパークする瞬間は最高に快感です。
コンペに勝ったこともあれば、負けたこともたくさんあります。
企画書を捨てるのはもったいないので、お見せできる範囲で一部をご紹介したいと思います。
特に、認知されていない場合は、オフラインとオンラインを一貫した戦略で使うほうが効果的です。
ある離島の課題
この島は、年々人口が減少し、高齢化、過疎化が進行し、税金を納める若者も企業も少ない島(村)です。
かといって、観光地として認知もされず、観光客は1日に指で数える程度。
課題は、観光地としての認知。
でも、観光地としては未整備。
唯一の強みは、昔ながらの原風景が残っていること。
そこで、写真映えする島であることをPRする為の企画を考えることにしました。
ジャーニーマップを考える
島のファンをつくり、訪れた方が自ら村の魅力を発信していくことが重要です。
継続性を持たせるために、旅行者目線の企画を旅マエ、旅ナカ、旅アトで考えます。
旅マエ戦略
旅行者の購買プロセスに沿った施策の展開を行います。
認知にはインターネットを戦略的に使い、比較検討では他離島との差別化戦略が重要になります。
旅ナカ戦略
旅ナカでは、カメラを片手に散策する楽しさをフォトガイドブックで訴求します。
旅行者の感性を引き出しやすいようにします。
<フォトガイドブックに求める機能性>
・直観で分かりやすい
・極力文字情報を少なくし、右脳に訴える
・撮影者に先入観を与えない
・素人でもきれいに撮れるアドバイスを記載
・撮影者の創造力をかきたてる遊び心ある写真見本
・何度も訪れたくなるようリピート性のある仕掛け
旅アト戦略
旅の後、SNSで思わずシェアしたくなる仕組を構築します。
島の公式インスタグラムを開設し、ハッシュタグで情報拡散を行います。
旅行者が投稿した写真を公式インスタグラムで紹介することで、旅行者によるフォトガイドがインスタグラム上に出来上がります。
また、Facebookグループも開設し、コミュニティ育成をSNSで行います。
ペルソナ設定
カメラ好きな20代前半~40代前半女性をメインターゲットに設定。
インスタグラムで情報発信力のあるカメラ好き、自然好き、沖縄好きをターゲットにすることで、情報拡散に期待します。
ターゲットを掘り下げた、ペルソナ(架空の人物像)とインサイト(心の欲求、不満、不安)を想定することで、ユーザー目線の企画をすることが可能です。
※下記のペルソナは、〇〇島関連で投稿しているインスタグラムやツイッター、レビューサイトを分析し導きだします。
大西さやか/28歳/Webデザイナー
代官山蔦屋書店や、吉祥寺のカフェによくいくような、カメラ女子。
日常から離れ、今後の自分の方向性を考える時間をつくるため、沖縄旅行を計画中。
インサイト:大学時代からバックパッカーをしていたので一人旅には慣れている。できるだけ一人の時間をつくりたい。
鈴木梨乃/32歳/フリーイラストレーター
大学時代はイラストを描いており、最近はカメラにはまっている。目黒のギャラリーで仲間と個展を開くこともちょくちょく。
主にDTP系の仕事を得意としている。
インサイト:シャッターストック(フリー素材)用に自然素材集めをしており、沖縄には石垣島含め結構まわっているが、観光客が映り込まない離島を探している。
吉田美香/40歳/証券会社
旅行が好きで、連休は、有給使って海外旅行によくでかける。
趣味はトリップアドバイザーでレビューを書くこととダイビング。
インサイト:沖縄の離島を制覇しようとももくろむ沖縄ツウであり、慶良間諸島は行ったことあるが、〇〇島はまだ未開拓。
次回は、久米島の友人に会いながら、〇〇島に寄ってみようか検討中だが、宿のレビューの評価が気になる・・。
ペルソナインサイト×提供価値
ペルソナが求めるもの
非日常の空間と時間
人の多い観光地は嫌
不安を払拭する情報
上記を解決する島のUSP(強み)
沖縄の原風景が残っている
観光客が少ない
〇〇〇〇
ペルソナインサイト×USP=提供価値
この提供価値を明確にし、企画を考えていきます。
企画を考えるときには、まずユーザーのニーズリサーチを行います。
企画の手順
沖縄の離島プロモーション企画を行った際のプロセスです。
企画コンセプトを考える前に、ユーザーリサーチを徹底的に行います。
1.課題を明確化(解決すべきテーマは何か?)
2.目的を明確化
3.リサーチ(SNSのハッシュタグやレビュー含めて)
4.ペルソナ設定
5.インサイト抽出
6.USP(競合優位性)を明確化
7.ジャーニーマップ策定
8.企画コンセプト設計(ここでようやく考えます)
9.具体案
この記事では、提案したコンセプトは省かせていただきます。
インスタグラムの開設と活用
公式インスタグラムを開設します。
事業を通して撮影した写真画像は、公式インスタグラムでも公開し、紙のフォトガイドブックだけではリーチいない方にもリーチさせます。
フォロワー獲得、認知の即効性を出すために、自動フォロワーツールを期間限定で活用し、フォロワーといいねを増やします。
※自動いいねツールは、インスタグラムからアカウントを削除される可能性が高く、インスタグラムに推奨されていませんのでおすすめしません。
オリジナル#ハッシュタグも作成し、旅行者が投稿した写真を収集、拡散しやすい仕組みを構築します。
インスタグラム広告
世界中で大人気のSNSといえば、インスタグラムです。
インスタグラムで旅先を決めることは世界中のトレンドとなっています。
特に、カメラ好きはインスタグラムをやっている確率が非常に高いため、ターゲット絞った広告配信が可能です。
日本国内の月間利用者数は2000万人(2017年10月3日時点)
世界の月間利用者数は8億人。訳6ヵ月で毎年1億人増加。
<インスタグラム広告の特徴>
精度の高いセグメンテーションはFBと同様
写真・動画によるコミュニケーション
ハッシュタグによるコミュニティの形成
世界観やストーリーを持たせることができ、認知度向上、ブランディングに有効
インスタグラム広告配信ターゲット(首都圏)
■エリア:1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)+沖縄県
■年齢性別:20歳~45歳の男女 ※広告配信後、データを見て絞込みます。
■興味関心:下記参照(カメラ好き/沖縄好き/自然好き/旅行好き)
■推定ユーザー数: 3,700,000人(月間)
Facebookグループの開設と告知
島に訪れた方がファンとなり、伝道者となるためには、〇〇島と強い結びつきを創出し、カメラ好きが集まるコミュニティとして育成していく必要があります。
コミュニティ形成手法として、Facebookグループの開設はおすすめです。
SNS上で〇〇好きが集い、仲良くなれば、オフ会(自ら旅行やイベントを企画)することも期待できます。
また、沖縄好き、カメラ好き、旅行好きが集まるFacebookグループに、フォトガイドブックの告知を行います。
興味のある方は数量限定でガイドブックの配布を行います。
<FacebookページとFacebookグループの違い>
■ページ:誰でもアクセス可能、いいねをしてくれた人は「ファン」
■グループ:メンバーのみ、参加してくれた人は「メンバー」
まとめ
クライアントは本当の課題とエンドユーザーのインサイト(本音)を理解していないことが結構あります。
まず、一番先にやることは、本当の課題を明確にし、ユーザーのニーズを知ることがもっとも大切です。
「敵を知り己を知れば百戦してあやうからず」
ユーザーのニーズがわかれば、刺さる企画を立てることができます。
マス媒体全盛期の時代は、情報が不足しているので、発信者側がある程度コントロールできましたが、スマホSNS全盛期時代は、情報発信は誰でもでき、エンドユーザーの情報感度は鋭くなっています。
価値観が多様化した時代では、ざっくりとしたターゲット設定では、心に響きません。
「あなたの為に」「私たちは存在しています」が重要です。
このnoteはブログの転載ですので内容が少し古くなっていますが、何かの参考になれば嬉しいです。
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