海藻とワタシ03

 科学者として生物学的な好奇心、科学的面白さとスピリチュアルなサムシングに突き動かされて海藻という生き物と付き合っていることはわかってもらったと思うが、じゃあ、漁師や海女さんら水産関係の人らや、最近では観光関係のセクションとも仕事をしてるのは、どう折り合いをつけてるのか?仕事だから、というハードボイルドな納得をしているわけではない、うちの俺にかぎって。

 仕事的には、水産資源のひとつである海藻を、直接的には海苔養殖やワカメ養殖のわずかながらのサポート、相談にのったり、種苗を作って売ったりをして科学的判断力みたいなものを少しは発揮させることで満足を得てる。間接的には、沿岸生物環境の要である一次生産者の海藻の様子を観察し続けることで将来的な沿岸利活用プランに貢献する部分もあると信じているから。で、そんないろいろを子どもたちの自然を含む身の回りの現象を観察する目を養う教育に使いたい、ということとか。ついに言葉だけのエコフレンドリーから脱却して、多様なエコツアーを用意していく時が来てる(役所に入る時の面接時から言ってたが、当時はよく分からんかったらしい)から、ツアーガイド研修なんかに役立ちたいとかね。

 が、そんな小難しいことだけで海藻仕事をしてるんではなく、同年代の漁師や海女さん、ホテルマンというか板前さんや問屋が、俺と同じく海藻を観てるのに、それぞれ違うように感じてるんだなという面白さ。説明しにくい。俺には宇宙生物に見えている海藻が人が変わると食材、薬品材料、エネルギー源、建築素材、生態系の一次生産者、飯のタネ、観光資源に教育的素材、アート材料、、、そうやって、みんなで海藻に集まってくるのが面白いんだ。それを仕事しながら感じられるから。なんかそういうこと。

 ちなみに、海藻まみれの海岸で泳ぐと、長い海藻が足ヒレやゴーグルにからまったりするが、俺ぐらいになるともはやからみついてこない。ラッコのようにスルッスルスルーとスムーズに泳ぎ回ることができる。

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