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アスリートと怪我 ~怪我をきっかけに考えるべきこと~


怪我に対する受け止め方3タイプ

わたしは、仕事柄怪我をしたアスリートと関わることが多いのですが、同じように怪我をしていても、受け取り方は様々だな、と感じています。

怪我した選手の怪我の受け止め方を、大きく3タイプに分けてみました。
是非、どれに当てはまるか考えてみて下さい。

また、今怪我をしていない選手も、スポーツに怪我はつきもの、他人事ではありません。
今怪我をしたら、どのタイプになると思いますか?

どのパターンになるかは、日頃どのようなマインドを持って、競技に取り組んでいるかで決まってくると思います。

是非、想像しながら、続きを読んでみてください。


1.不安が強いタイプ

まず、不安の強いタイプです。

復帰時、怪我をする前のようにパフォーマンスできるのか、また試合に出られるようになるのか、といった現状への悲観や今後への不安の声が聞かれます。

今まで不便なく使えていた身体が使いにくくなり、今まで何も問題なかったのに痛みを伴う、毎日頑張っていた練習に行っても参加できない…

怪我で突如色々なものが変わってしまうという、不安やストレスはかなり大変なものだと思います。

それ故、急な変化に頭も身体も追いつかず、元に戻れるのかという不安が前面に出てくるのではないか、と考えています。


2.不安が出てこないタイプ

逆に、こうした不安が出てこないタイプの選手もいます。
こちらは、さらに2種類に分かれます。

2-1:自分事として捉えられていない
2-2:早期に自分の状況を把握し、その上で今やるべきことが明確になり、実行している

という2パターンです。

2-1は、怪我をしたことこそ認識していますが、怪我による弊害や今後のことまで、考えが及んでいないケースです。
現状にしか目が向けられていないので、今痛い、動きにくいなどの困り事はあっても、先の不安も何もありません。

指導者や親、医療従事者の言うことを聞いて、ただ休んでいればいい、休んでさえいれば、また同じようにプレーできると、漠然と楽観的に捉えています。

2-2は、現状と今後を正確に分析し、今やるべきことに目を向けています。
やるべきことが分かっているからこそ、不安はないという状態です。

同じときに怪我をした2人の選手が、2-1と2-2それぞれのマインドで復帰まで生活したとき、どちらが復帰時に活躍できるかは一目瞭然ですよね。


良い療養期間の過ごし方

怪我の適切な理解

若年層で、特に初めて怪我をする選手は、先のことまで想像力が及ばないのは、仕方ないとは思います。

わざわざ不安を植え付けて、プレッシャーをかける必要もないです。

しかし、「ポジティブ」と「成り行き任せの考えなし」は、全く意味が異なるということも理解しておかなくてはいけません。

療養期間が長くなればなるほど、何もしなければ元通りでの復帰は難しくなってくるのが、現実です。

今、身体がこうなっているから休まないといけない、しかし休むといってもただじっとしていたら能力が低下してしまう、休んでいる間にできることもある、こういった知識を持つこと、指導していくことは非常に大切なのではないかと思います。


ピンチはチャンス!

というのも、わたしは、療養期間は貴重なステップアップチャンスだと考えているのです。

1つ目の理由としては、時間があるためです。

怪我をすると、治療や安静で練習に参加できなくなるため、時間ができます。
この時間は、苦手克服、持久力強化、筋力強化、戦術研究など多くのことに使っていくことができます。

2つ目に、自分を見直す良いきっかけになるためです。

立ち止まる時間ができたことで、自分がどんな選手になりたいか?そのためには何が必要か?などを考える機会になります。
それをもとに目標を立てて、行動をすれば、療養期間はかなり充実した時間になるはずです。


怪我の種類と休む・休まない問題

今回は怪我を題材にしていますが、一言に怪我を言っても、怪我にも色々あります。

●小さな怪我…擦り傷、軽傷の打撲など練習するのにそれほど支障はないもの。

●中等度の長く続く怪我…練習できないほどではないが、ポイントで痛みを伴うもの。休むべきか判断しにくく、無理すればできてしまうもの。

●大きな怪我…骨折、靭帯断裂などプレーはおろか日常生活にも不便を呈するもの。

大きな怪我については、休む他ないですが、特に中等度の怪我については、扱いが難しい部分があります。

これについては、明確にどうしたらいいと決定づけるのは非常に難しい問題だと思います。

実際、現場では、やりながら治す、これくらいで休むと言い出しにくい、などという言葉もよく聞かれます。
「休む=悪」のような雰囲気は、まだまだ認められるようです。

しかし、一つ言えるのは、練習を休むことは悪いこと、止まることではないということです。

練習を休むことは、頑張る方向を一時的に変えるというだけなのです。

全体練習に参加することはもちろん大切なことですが、そこに参加しなくてもやるべきこと、できることは山ほどあります。

休む時間は、自分次第で止まった時間にも、進んだ時間にもできます。

もし、練習を休むことに抵抗のある選手がいたら、これを思い出してほしいと思います。


一緒に怪我を乗り越えよう!

周囲ができるサポートとは

怪我をしたアスリートに対し、周囲はどんなサポートをしていったらいいのでしょうか。

まず、怪我をしたとき必要なことは、怪我を早く治すためにできることをすることです。(アイシング、物理療法、リハビリなど)

次に、現状と今後をしっかり理解することです。

怪我の状態や復帰までの期間、いつからどの程度の負荷で動かしても良いのかなどを考えていきます。

逆に、何もしなかったらどうなるかも考えて、比較させてもいいかもしれません。

そして、復帰に向けた目標設定をし、今できることを考え、実行することです。

これらが一人でできればよいですが、難しい場合は分かりやすく問題提起してあげたり、一緒に調べたりしてみてほしいと思います。

怪我を克服するポジティブな姿勢

頑張るアスリートにとって、怪我は大きな困難と感じるかもしれません。

痛い、リハビリが苦しい、孤独、確かに怪我にはネガティブな側面もあります。

しかし、乗り越えた経験が自信になり、今後の競技生活で必ず武器になっていくと思っています。

是非、怪我への正しい理解を持って、自分の今後の選手生活と向き合ってみてください。

目標に向かって日々邁進する選手たちが、どんなときでも競技を楽しみ、成長していくことを心から願っています。

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