キャメル


タバコは火を付けたら少しの間は楽しむことはできるけど過去は灰と化す。

貴方との恋愛と全く同じでもう既にフィルターだけになった廃人。

キャメルなんて「あこがれ」が吸っていたタバコの銘柄で

ただ名前を知ってるだけの自分に縁のないもので自分には煙(えん)のない人生だったのに。

貴方に出会って離れるまでは。

現実から目を背ける様に。
貴方への想いを消す様に。
人目を気にせずに火を付けた。

貴方を失った辛さをかき消す様に口いっぱいにふくんだ煙を咽せながら目の前に吐く。

少し視界が悪くなった数秒の世界で貴方を見つける。

一気に広がった煙に涙も貴方への気持ちを隠させてね。
貴方にはもう煙も迷惑もかけないから。

貴方のことを思い出す度に買っては吸うの繰り返し。

空にならない黄緑の箱が溜まる溜まる。

貴方を想う気持ちと比例して家でのゴミが増える。

整理出来ない増えるゴミを見て自分の気持ちに整理がつく。

貴方の匂いを忘れる様に部屋にはタバコの匂いを充満させる。

そんなことばかり繰り返してたら咽てたタバコも妙にダサく吸えるように。

勝手に貴方に教わった吸い方。

甘いキャラメルの様な楽しい思い出から、「楽」だけが抜け落ちたクソみたいな銘柄。

今日も甘いだけの煙を貴方を考えて吸うよ。

隣に来て禁煙させてね。

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