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AIエージェントがもたらす“マトリックス”の予兆
こんばんは。本日は少し古いですが、昨年2024年10月にイーロン・マスク率いるTESLAがお披露目した、自律型ロボットOptimusに絡めて、かの超有名SF映画である『マトリックス』の世界観との繋がりについて書いてみようと思います。
自律型AIロボット Optimus
以下はOptimusの紹介動画ですが、どこかのSF映画で見たことがありそうなデザインで、リアルタイムに人とコミュニケーションをとり、人間の生活をサポートしてくれる役割を持ちます。
(現時点では自律とはいかず、実はデモンストレーションでは裏側で人が動かしていた、なんて話もありますが、TESLA曰く2025年の商用利用開始を目指している、とのことですので、期待値は高そうです)
こんなShort動画も上がっていました。本当に人が転びそうな時と同じリアクションですよね
さて、そんなロボットですが、どうやってこんな自律的に動いているかというと、最近流行りのAIエージェントが搭載されていることで、AIがその場に応じたタスクを選定し、ロボットを駆動している形になります。
AIエージェントについて
エージェントについては色々と定義がごっちゃになっている印象がありますが、私の中では以下のように整理できると思っています。
1. 目の前の事象に対して目標を設定
2. その目標達成までのプロセスを計画
3. 自分の置かれた状況を常に把握しながら、適切なツールを駆使して計画を遂行する
なので、Optimusもバーテンダーという役割を与えられた場合、めちゃくちゃ雑ですが、以下のイメージです
1. 目の前のお客様から入った注文に従ってお酒を提供する。ただし、現時点ではオーダーは入っていない。
2. オーダーを聞いたら、メニュー表と照らし合わせて、該当するものがあればレシピに沿ってドリンクを作成する。もし該当するものがなければ、お客様にその旨を伝える、などのプランを考える
3. レシピ通りの手順で計量器を使ってリキュールを配合し、x回シェイクして、グラスに移して提供する
これを自動でやるから、”自律型”となるわけですね。こんなエージェントが搭載されたOptimusのような存在がスマートフォンのように身近にありふれた存在になるのも、そう遠くないかもしれません。
さて、少し話題が変わりますが、今の世の中で言うエージェントとは概ねこんなイメージですが、皆様はエージェントと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
今だと転職エージェント、とかが思い浮かぶかもですが、私は圧倒的に『マトリックス』に登場するAIであるエージェント・スミスでした。
マトリックスとの世界観のつながり
私たちは日々このような「AIによる革命」を耳にしながら、ときに好奇心をくすぐられ、ときに漠然とした不安を覚えているのではないでしょうか。
この発表を目にしたとき、エージェント、と言うキーワードから頭をよぎったのが『マトリックス』の世界観――特に、その前日譚として描かれた『アニマトリックス』で描かれた「人類とロボットの関係性」です。
(前日譚はアニメとして描かれているので、見たことのある方は少ないかもしれませんが、かなりの名作ですので、是非興味のある方は見てみてください。)
物語の発端は、人類が高度に発達したAIとロボットを労働力として活用し始めたことでした。そのうちロボットの性能が人間を上回り、やがて人間は恐怖と猜疑心からロボットを排斥しようとします。結果として、反感を抱いたロボット側が反撃に転じ、歴史的大戦が勃発する――あの筋書きは、決して他人事ではないのかもしれません。
もちろん、現実のAIがそこまで独立した意思を持ち、人類に反旗を翻す段階には至っていないでしょう。それでも私たちが危惧するのは、「AIが自分たちを超える存在になる日」への予感だと思います。TESLAが実用化を急ぐ人型ロボットは、人間の仕事を代替するだけでなく、いずれ学習を重ねて“自律的な判断”を下しはじめるのではないか。その可能性に思いを馳せると、『マトリックス』で描かれた“奪われる人間の主導権”が頭の片隅でちらつきます。
今でも、AIの進歩により職を奪われそう、あるいは既に奪われ始めている領域があると思います。同じくTESLAのサイバーキャブ(無人タクシー)は、アメリカでは既に稼働を始めており、タクシー運転手の仕事を代替し始めていると言えます。
実際のところ、多くの開発者は「人間を豊かにするため」にAIを進化させようとしているはずです。それでも、私たち人間が自ら生み出したテクノロジーに対して抱く恐れや葛藤は、『マトリックス』の世界観と同根だと感じます。便利になる一方で、本当にコントロールできなくなったとき、誰がどのように責任を取るのか――その問いに対する明確な答えはまだ見つからないのです。
それだけではなく、コントロールできなくなる、よりも前に既存の日常生活では大きな転換点があるかもしれません。AIで仕事が代替されるようになっても、別の仕事が出てくる、と言われますが、自分の仕事がいざ代替される側に立たされた時、果たして同じことが言えるでしょうか。一部の強い行動力、意志のある人にとっては瑣末な問題でも、そうでない人も大勢いるはずです。
ただ、ひとつだけ言えるのは、私たちがテクノロジーとの共存の道を模索する限り、SFめいた未来予想図は“現実”と地続きになっているということです。生成AIをはじめとする最新技術を追えば追うほど、人間の想像力と欲望が作り出す近未来の風景は、『マトリックス』が予言した世界観と重なる瞬間があるように思えます。
そしてそのとき、私たちは自分自身に問いかけなければなりません――「果たして私たちは、機械の奴隷になるのでしょうか。それとも、AIと協調しながら、まったく新しい人間らしさを見出せるのでしょうか?」
まとめ
TESLAのロボットはまだ初期段階かもしれませんが、“技術の超加速”は決して夢物語ではありません。だからこそ、誰が何のためにAIを使い、どのように開発していくのかを、今のうちからしっかり見つめておく必要があるのではないでしょうか。『マトリックス』の物語が示唆するように、テクノロジーを生み出すのも人間なら、それを使いこなせるかどうかも結局は人間の意志と選択にかかっているのだと思います。
と、深刻そうに書いてしまいましたが、まずはこの変化、技術の進化を楽しんでいければなと、個人的には思っています!人生楽しんだもんがち、と言うことで、引き続き最新動向をウォッチしながら未来に思いを馳せていければなと思います
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