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薫りを残したライダース Part2

こんにちは。






前回までのお話はこちらから。






お題は、シングルとダブルのレザーライダース・ジャケット。




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さて。
ではまず、シングルのデザインから考えてみる事にしました。






とりあえず、世の中のシングルライダースをリサーチしてみると...





”スッキリとしたタイトフィットで、モダンな雰囲気の大人ライダース”





えっとこれ、”身幅と袖幅を削って小さくした” の意訳、として受け取ってよいのかしら?






タイトフィットという言葉は、文字通り、ゆとりの少ないものです。




ところが、実際には寸法ではなく、
”着用時に受け取る印象” の事を指す場合があります。
より分かりやすく言うと、




求められているのは実寸の小さい洋服ではなく、”スマートに見える” 洋服



ということです。





”もっとほっそりした感じにしたい” → ”じゃあゆとりを削ろう”

というのは必ずしも正しい、とは限らないのです。
(必要なゆとりまで削ってしまったケースも散見されます)




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それと、仕事で接するお客様から頻繁にお聞きする意見として、


”いい歳の男がピタピタの服を着てると、幼く貧相に見える”


というものがあります。





価値観はそれぞれなので、是非を問うものではありません。




ですが、洋服の”適切なゆとり”が、
着る人に”印象のゆとり”を与える事があるのは事実だと思うのです。





時間をかけてオーダーし、長く着ていくのであれば、
ご自身の要望を織り込んだ上で、
周囲からも ”素敵だね” と言われる服の方が嬉しいですよね。





これらの事を踏まえると、方向性は見えてきました。



適切なゆとりは残し、動きやすくありながら、
すっきりと、落ち着いた印象のシングルライダース。



これを実現する為の設計はすぐに思い浮かびました。
イメージもハッキリしてる為、制作はとてもスムーズ。





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目的が明確な設計はきちんと伝わるのだな、と実感出来たのは、
あるお客様からの反応でした。




”見た目のスマートさに惹かれていましたけど、
  試着の際、腕通しのしやすさに驚きました。
  ライダースは動きにくい、という先入観が覆された”






なんと理想的な反応😆
内心、ニヤニヤが止まりませんでしたww








ではもう一つのお題、ダブルに参りましょう。






個人的に、ずっと不満がありました。






”どうしてあんなに着にくいんだろう!?”






よく耳にするセールストークで、こういうのがありますよね。



”最初は硬いから〜”
”革は着て馴染ませるもの”




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(めちゃくちゃ硬そう...)




でもこれ、基本的な着心地が悪いこととは、別の話なんですよね。。。
それに、”馴染むまで着続けよう” と思えない。



特に、前を閉めて着る時、
襟元にボリュームが溜まりすぎるのが好きになれなくて。


”スカーフした時に、ちょうど収まる” って言う人がいますが、
そのための設計じゃないと思うんです。。。





そんなわけで、一般的なダブルライダースの設計を分析してみることに。




バイク乗りの為の機能性として何が求められて、
あの形やデザインになっているのか?
街着として着用するにあたっては、何が不要で何を残すのか?




分析の後に熟考したものの、なかなかイメージが掴めず、
デザインを決めるのに難航しました。




半ば放置状態だったある日、
一つのアイデアが閃いて、視界が開けたように感じました。
まだ作ってもいないのに、出来上がりが見えるような、とても明快な感覚。




制作に取り掛かってみると、細かい調整は必要だったものの、
自分でも満足のいく仕上がりを得られました。






奇を衒ったデザインではないものの、一般のものとは全く違う佇まい。
上品さを漂わせながらも、土埃舞うモーターサイクルの薫りはそのままに。





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”ここまでハードさを感じさせないダブルは見たことがない”
”スタイル、着心地共に文句のつけどころがない”



というような、ありがたい三ツ星評価を頂きました☆☆☆



ただ、これも偏に、
デザインの意図や設計を理解してくださるお客様のおかげです。




本当にありがとうございます。








オーダーって、デザインや生地はどうしよう、と考える事は多いですよね。でも、細かいことは抜きにして、
まずは試着して、その時の感覚を味わって欲しい、と思います。


試着時に感じたフィーリングによって、
あらかじめ希望されていたデザインを変えられた方もいらっしゃいます。



決まった形はありません。



皆さんそれぞれが伸々と自由に、
オーダーという買い物のプロセスを楽しんで頂ければ、
こんなに嬉しいことはありません。






一緒に、素敵な1着、作ってみませんか?






TS

頂いたサポートは、新しい服作りの為に活用させていただきます。