Barclay James Harvest
Barclay James Harvest - Barclay James Harvest (1970)
プログレバンドとカテゴライズをされつつも聴くとそこまで発展した音楽ではないと思うバンドもある。バークレイ・ジェームス・ハーヴェストも英国ならではの摩訶不思議な側面を持ったバンドで、最初期からライブ盤あたりまでが一般的にプログレッシヴロックと解釈されているけど、ホントの最初期を聴くと少々不思議に思う。
Barclay James Harvestが1970年にリリースしたデビュー盤「Their First Album」。バンド名から蝶々をイメージとモチーフにして、その影響がこの後もジャケットに登場する。こういうこだわりも好きだけど。ファーストはその蝶々をステンドグラスにイメージし直したもので美しい。
そんなファーストアルバムは、方向性の未決定かゴッタ煮ロックの中から整然と纏め上げたか、そもそもオーケストレーション豊富で叙情性の高いプログレッシヴバンドの印象はそれほど強くない。穏やかな英国トラッドフォークに起因するソングライティングが発展した素朴なメロディが多く、その味付けに歪ませたギターをヒステリックにオーヴァーファズ気味に出力している感触。ストリングスによるオーケストレーションも入ってるけど、そんなに仰々しくなく、プログレと呼ばれる程でもなかろう。叙情性を重要視しているのは分かるし、メロトロン好きでオルガンの音色も素晴らしいし、良い味を出してるからハマる。どれもほのぼのする曲で良い。最後の曲だけは12分くらいある、この後のバークレイ・ジェームス・ハーヴェストを予言している壮大な楽曲。白々しいまでの大らかなストリングスを配した曲で、上昇旋律によって雰囲気を盛り上げる曲は好きだ。長さを感じずにハマれるのが良い。
そんなバンドなので何処のジャンルにカテゴライズ出来ないバンドのひとつかもしれない。英国の牧歌的なトラッドの空気にクラシカルなオーケストラを入れ込んで叙情性を持たせたらこうなる実験の結果のひとつ。後にThe Enidでオーケストラを大活躍させるロバート・ゴドフリーがアレンジしているので勝手な推測だけど。この人のソロはもっと垢抜けている作品だったが。しかしこれぞ英国と言わんばかりのメロディセンスには脱帽。他の国では絶対に出てこない深みのあるサウンドの英国は深い。
好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪